今回はコンポスト用の生ごみの水分をソーラーフードドライヤーで低コストに飛ばすという内容です。
今回の応用編としてコーヒーかすの乾燥についても書きました。よろしければご覧ください。

生ごみをコンポストにするメリットと弱点

生ごみをコンポストにすると色々なメリットがあります。
- 燃やせるゴミが減少して有料ゴミ袋の購入枚数が減る
- コンポストで植物を育成すると資源が循環してサステナブル
- 生ごみがごみ焼却場に行かないので生ゴミの水分を飛ばすための化石燃料の消費が抑えられ地球環境に良い
メリットがある生ごみのコンポスト化ですが、コンポストの弱点として以下の項目があります。
- 生ごみを投入し続けると水分過多でグシャグシャになる
- 悪臭や害虫の発生
コンポストには熟成という段階が必要ですが、コンポスト用の容器に対して少ない量の生ごみを定期的に投入していけば、生ごみが層状になっていき、下の方から勝手に熟成していきます。そのため今回は容器いっぱいになってから数か月熟成のために生ごみの投入を止めるのではなく、生ごみを追加し続けて勝手に熟成した層の下の方から順次、家庭菜園にコンポストを利用していくものとします。
また前提条件として生ゴミ以外の炭素源として家庭菜園で出た茎などの残渣はある程度投入してあります。
なお作成したコンポストの施し方は以下にまとめてあります。よろしければご覧ください。

コンポストにするときの生ごみの水分過多という問題

そうは言っても上で挙げたように、コンポストに生ごみを投入し続けていくと「水分」の問題に突き当たります。
生ごみの約80%が水分です。
燃やせるごみの中で約35パーセントが生ごみです。その生ごみの約80パーセントが水分です。
この水分をひと絞りするだけでごみ減量に効果があります。
生ごみから出る臭いや虫の発生も防げます。
町田市, 生ごみの水切りをしましょう! ~生ごみの80%は水分、水切りだけでも環境にやさしい~
コンポストに生ごみを追加すると生ごみが分解されるのですが、その過程で生ごみの中の水分が外部に放出されます。
ここでコンポストの水分は60%くらいがよいとされています。
水分の目安は、基材を握ってみて、塊になるかバラけるかのぎりぎりのところ(水分量60%といわれています)が最適です。
小田原市, 段ボールコンポストQ&A
仮に生ごみの水分がすべて放出されると投入毎に余分な水分20%が蓄積されていきます。(80%生ごみ – 60%適量 = 20%余剰)
生ごみを追加し続けていくと余分な水分が限界値を超えてしまい、グシャグシャなコンポストになり、悪臭と害虫が発生します。
一般にはこの余剰水分を枯葉や枯れ枝などの乾燥物を投入することで「薄めて」全体の水分量を調整します。
しかしうまい具合に水分量が薄まって生ごみを投入し続けられるかというと、なかなか余剰水分を毎回打ち消すというのは難しいです。
かき混ぜてもすぐ枯葉が水分を吸収するというわけではないので、毎日投入すると結局グシャグシャになりました。
とはいえ生ごみは毎日発生します。生ごみは毎日コンポストに投入したいですよね。
生ごみを乾かすと水分過多の問題が解決する

生ごみは水切りしてゴミに出すことが推奨されています。上の町田市の引用でも水切りが推奨されていました。
減量でゴミ袋の使用量を減少させる、乾燥でゴミ焼却場の燃料費を下げるというのが主な理由ですが、コンポストでもメリットがあります。
コンポストに乾燥させた生ごみを投入することで、上で挙げた20%の余剰水分が発生しなくなります。むしろカリカリに乾燥させれば水分不足になる計算です。50%ほど生ごみを乾燥させれば、生ごみの30%が水分になって30%の水分不足になります。(30%水分 – 60%適量 = 30%水分不足)
足りなければジョウロで足せばいいだけです。これでようやく水分量を自分でコントロールできるようになります。
生ごみを絞るだけでは不十分

生ごみを絞ればそれだけ水分は減少しますが、ひと絞りで減少するのは約8%です。
ひと絞りすることで約8%の水分が減り、燃やせるごみの減量につながります。
町田市, 生ごみの水切りをしましょう! ~生ごみの80%は水分、水切りだけでも環境にやさしい~
これでは生ごみの水分量は約72%ほどになり、12%の水分過多になります。(72%水分 – 60%適量 = 12%余剰)
つまり絞っただけの生ごみをコンポストに投入しても水分過多で結局グシャグシャです。
生ごみ乾燥機は電気代が弱点

生ごみ用乾燥機は色々ありますが、どの製品も熱風乾燥なので電気代がかかります。全自動で簡単に、室内で高速に乾燥できるのが最大のメリットではありますが、電気代で燃やせるゴミ用のゴミ袋が買えてしまう可能性があります。そうすると経済的にお得ではありません。予算と電気代に余裕があればこういう「パリパリキューブ」などでもいいでしょう。

そこで今回ご紹介するソーラーフードドライヤーを活用してみてはどうでしょうという話になります。太陽光で乾かすので電気代がかかりません。
ソーラーフードドライヤーとは
ソーラーフードドライヤーというのは太陽光でドライフルーツなどの乾物を作成できる道具です。
作り方は以下の記事がわかりやすいです。

仕組みはソーラークッカーに似ています。
密閉した容器を作って、内部を黒く塗るか、黒いアルミホイルなどを貼ります。そして太陽光の入力面を透明なアクリル板やポリカーボネート版、塩ビ版などで作ります。透明のゴミ袋を切って貼るだけでもよいです。
内部は密閉されているのでビニールハウスのように温度が上昇します。しかも内部を黒く塗っているのでより温度が上がりやすくなります。黒いものは光を多く吸収して温度が上がりやすくなるからです。
ソーラーフードドライヤーの下部と上部に穴を開けて空気の通り道を作ると乾物から出た水分が上昇気流で上の穴から抜けてなお効率が良くなります。
木材の本格的なものではなく、段ボールとラップでも作成可能です。以下の動画では段ボールとプラダンのポリカーボネートで作っています。ポリカーボネートの代わりにラップを使っても機能するでしょう。
実際に私が作ってみたのが以下となります。生ごみ用ということと、時間とお金と手間がかかる、そして何より私に美的センスがないという理由で装飾はまったくありません。乾けばいいやというスタンスです。
木材は家にあったDIY用の余りを使いました。断熱用のスタイロフォームは購入したものです。黒い部分はサツマイモ用の黒いアルミホイルを利用しました。
まずその1。透明部分は透明なゴミ袋で作りました。

次がその2。透明部分に透明のポリカーボネートを採用。お金が多少かかっています。ポリカーボネート板は500円くらい。

ソーラーフードドライヤーで生ごみを乾燥させる

ソーラーフードドライヤーで生ごみを乾燥させるメリットは以下のようになります。
- 太陽光で乾かすので電気代がかからない
- 春・秋・冬でも生ごみの乾燥ができる
- 乾燥用のネットに生ごみを入れて吊るして自然乾燥するより高速に乾燥できる
- 食材の乾燥では殺菌目的で80度程度必要だか、コンポスト用なので殺菌を考える必要がなく、50度程度でも十分使える
夏の炎天下にザルに生ごみを置いて乾燥させておけばすぐ乾くでしょう。しかしそれ以外の季節だと結構時間がかかります。外気温が下がるのでそれだけ乾燥に時間がかかるからです。
食材の乾燥に関する研究では以下のように述べられています。
乾燥速度を大きくするためには, 固体表面積を大きくし, できるだけ高温で低湿度の空気を用い, かつ通風をよくすればよいことがわかる。
林 弘通, 食品の乾燥(2)―各種乾燥機の原理―, 調理科学 25 巻 (1992) 1 号 p. 66-75.
つまり外気温が下がると乾燥用の空気の温度が下がってそれだけ乾燥に時間がかかります。
そこでソーラーフードドライヤーの出番です。ソーラーフードドライヤーなら適当な作りでも冬の日差しがあるときで50度程度まで内部温度が上昇します。乾燥時間が短縮できますね。
ネットに入れて自然乾燥するより高速に乾燥できるので、毎日の生ごみの発生速度に乾燥が追い付く可能性が出てきます。ネットのみだと順繰りとたくさんのネットを吊るさなければいけないので結構大変です。
またコンポスト用なので殺菌を考えなくてよいというのもメリットです。生ごみは食べるわけではないので殺菌できなくても乾燥すればよいだけです。つまり適当に作った50度程度までしか上がらないようなソーラーフードドライヤーでも十分だということです。
ソーラーフードドライヤーで生ごみを乾燥させてみた

ネットに入れた生ごみをソーラーフードドライヤーへ投入します。表面積を増やすためになるべく生ごみは薄く、細かくしてから投入したほうが速く乾きます。一応生ごみの下が水分でグチャグチャにならないように100均の網を敷いています。実行日は12月の晴れた日です。

夏だと温度が上がりすぎてネットが溶ける可能性があるので、様子を見ながら入れてください。溶けそうならネットから出したり、ザルでの天日干しに切り替えるなどしましょう。
12月でも、甘めに見積もって晴れの日2回くらいで薄い生ごみはカリカリになります。大きい生ごみは晴れ3回以上必要です。めちゃくちゃ速く乾くというレベルではありませんが、ただ吊るしておくよりは速いです。
雨や曇りの日は生ごみが入ったネットごとベランダに吊るして乾燥させています。
カリカリになった生ごみです。

カリカリの生ごみから順次コンポストに投入していきます。

我が家のコンポストです。きれいではないですけど、とりあえず生ごみは分解できます。使いたい時は下の方を掘り返してプランターなどに投入しています。
大きい生ごみも完全乾燥まで行かない段階である程度乾いたらコンポストに投入します。多少水分があっても全体の20%程度が乾燥していれば帳尻は合います。水分が残っている感じがしたら、ジョウロでコンポストに足す水分量を少なくして調整しましょう。
追記【水分量の調整は多角的に・窒素飢餓はあまり心配しなくてよい】
水分量の調整用に昨年の作物の残渣を乾燥させておくとよい
ソーラーフードドライヤーを数か月運用してみて感じたのは、「毎日生ごみが出るのに毎日は晴れないから、完全乾燥まで待ってからコンポストに入れると乾燥が間に合わない」ということでした。
生ごみだけバシバシ乾燥させずにコンポストに投入していた時期よりは、乾燥させれば確かにグシャグシャになりにくいのですが、「一日ほど日光に当てたらすぐコンポストへ」みたいな運営になりがちです。じゃないと生ごみが渋滞してソーラーフードドライヤーがいくつも必要になってしまいます。
家の日向に余裕があればソーラーフードドライヤーを多数設置するという方法でもよいですが、そうでないなら焦らずに別の方法を組み合わせましょう。
その方法とは昨年の作物の茎や枯れた花や葉などの残渣を野積みにして乾燥させておいて、それをちょっとコンポストがグシャグシャになってきたと感じたときに混ぜることです。
残渣がないなら稲わら(買う必要があるのであまり経済的ではありません)や落ち葉などでもよいです。茎などはハサミで細かくして入れましょう。長いまま入れると色々なものとからまってコンポストをかき混ぜられなくなります。
そうすればグシャグシャはある程度緩和され、また生ごみを入れられるようになります。
窒素飢餓にはたぶんならない
窒素飢餓というのは土壌微生物が生きるために必要な炭素と窒素を、有機物から消費して生存・分裂する過程で、環境中の窒素と炭素のバランスが悪く、炭素多めの場合に必要な窒素が足りずに、不足分を土壌中の窒素を利用して消費してしまい、作物に回る窒素が足りなくなる現象です。
長々と書きましたが、要するにコンポスト中で窒素が足りないと、土にすき込んだときに窒素飢餓が起きて肥効が悪くなる現象です。
それの目安になる指標がC/N比という、資材に含まれる炭素と窒素の比率です。C/N比10ならその資材には炭素が10の分量に対して窒素が1含まれています。C/N比が高いと窒素が少ないということになり窒素飢餓が起きやすくなります。
一般に生ごみコンポストのC/N比は約10です。
生ごみの炭素と窒素の割合、いわゆるC/N(シーエヌ)比は10程度といわれています。
茨城県農業総合センター, 生ごみを菜園で利用する(2019年4月)
それに対して窒素飢餓になるC/N比は20以上とされています。
この窒素飢餓を起こさない限界は有機物の炭素率(C/N)が20~25であるといわれている(HARMSENら, 1955;広瀬, 1973;徳永ら, 1974).
金森哲夫, 安田環, 各種有機物施用と窒素の動態, 農林省野菜試験場 野菜試験場報告 A3:81~95(1977)
生ごみコンポストはC/N比がそれほど高くないので乾燥させることができればとりあえず窒素飢餓の心配は不要でしょう。
ただし乾燥生ごみコンポストは窒素飢餓が起きにくいので余った窒素によって肥効はそれなりにありますが、C/N比が低い場合にコンポスト化の過程でアンモニアガスが発生して悪臭が発生するときがあります。そういうときはC/N比が高い茎や葉などの乾燥残渣(実よりは栄養が少ないのでC/N比が高いと思われる)などを混ぜると悪臭が低減されます。
原料のC/N比を高く調整することによってアンモニア臭が低減されることがわかった。
中崎 清彦, 酒井 孝幸, 加藤 聡一郎, 臼井 康博, コンポスト化におけるアンモニア臭低減におよぼすC/N比の影響, 化学工学会 研究発表講演要旨集/化学工学会第70年会 セッションID: Q113 (2005年)
窒素飢餓になる限界値がC/N比20程度なのでC/N比10の生ごみにはまだC/N比を上げることができる余裕があります。多少臭い防止のために残渣を混ぜてC/N比を上げても問題ないと思われます。
生ごみ投入後の切り返しは深めに
生ごみの攪拌に小さい園芸用スコップを使っていると、生ごみの表層の10cmくらいまでしか空気が入りません。するとその下の深さ20cmくらいまでの層(10cm~20cmくらいの中層)に空気が入らず、上層で分解された生ごみから水分が落ちて溜まり、さらに上からの圧力で中層が締まってさらに空気が抜けて、そこだけ水分でグシャグシャになりがちです。
水分が多すぎれば酸素のない嫌気発酵が発生し、水分過多で好気発酵も失敗してグシャグシャコンポスト特有の臭いにおいが発生します。
そうならないためにも、コンポスト原料の生ゴミを投入して攪拌するときは大きなスコップで深めに切り返しを行い、空気を入れましょう。においが少なくなる場合が多いです。
まとめ【コンポストの生ごみの水分過多問題にソーラーフードドライヤー】

今回はコンポストに投入する生ごみの水分過多という問題を解決するためにソーラーフードドライヤーを活用してみてはどうでしょう、という内容でした。
電気で乾燥させると便利ですが、サステナブルにするにはソーラーパネルで大容量ポータブル電源を使う、みたいな話になってしまいます。太陽光の1m2あたり1kWという結構大きなエネルギーを活用してみましょう。
黒い物体に光を当てて保温するという簡単な仕組みで生ごみの乾燥ができます。
そして乾燥した生ごみをコンポストに投入し続けて、下の方の完成した堆肥から順に使っていけば、連続してコンポスト化が可能です。
コンポストのサイクルがうまく回れば燃やせるゴミの量も減り、ゴミ出しの回数も減ります。
ご興味がありましたら生ごみ乾燥用のソーラーフードドライヤーを作ってみてはいかがでしょうか。
※乾かした生ごみをコンポスト容器に入れるときは基材が必要になります。ピートモスやもみ殻燻炭などがよく利用されています。
