今回はコンポストを作るときの「臭い」「べちゃべちゃ」「虫」「分解不足」という割と遭遇する問題に関する話題です。
なぜコンポストに失敗するのか【臭い編】

これから「コンポストの失敗の要因」について解説します。まずは臭い編です。
コンポストを適切にうまく発酵させることができれば臭いはあまり出ません。しかしながら以下のような運用をすると悪臭の原因になります。
- C/N比が低すぎる→アンモニアガス(悪臭)が発生する
- 水分過多→嫌気性発酵になる→腐敗(悪臭)
- コンポストの攪拌不足→嫌気性発酵になる→腐敗(悪臭)
臭いの失敗の要因【C/N比が低すぎる】
C/N比と悪臭に関しては過去記事で解説しました。

簡単に説明するとC/N比のCは炭素、Nは窒素です。C/N比が高いと堆肥中の炭素が多い、低いと窒素が多いと言えます。
C/N比が低くなると窒素が多くなりアンモニアガスが多く発生します。アンモニアの化学式はNH3で「N」は窒素、「H」は水素です。
窒素は自然界で微生物によって分解されアンモニアになります。窒素が多いとアンモニアが多く発生して、アンモニアは悪臭を放ちます。
一般にこの問題を解決するには以下のような対策が有効です。
- 窒素分が多い「肉」や「魚」の投入を控える
- 臭いが結構するな、と感じたら「枯草」や「落ち葉(腐葉土)」など窒素よりも炭素が多い基材を入れてC/N比を上げる
最近はその辺の草むらに毒草が生えていたりするので枯草を入れるときは混入が無いか確認してください。(くらしのマーケット, ナガミヒナゲシは危険外来種!?駆除の方法や注意点を解説!)(宇都宮市, 有毒植物)
肉や魚は絶対ダメというわけではないですが、窒素が多いので枯草などを入れてC/N比を調整しましょう。
また逆にC/N比が高すぎる場合(炭素過多)、例えば落ち葉だけでコンポストを作ろうとしたような場合は、窒素源として米ぬかなどを投入すると微生物の栄養になるので分解がうまくいきやすいです。微生物は炭素と窒素をエサに分解活動をするからです。
もちろん生ごみにも窒素が含まれているので米ぬかの代わりに投入してもよいです。
臭いの失敗の要因【水分過多・コンポストの攪拌不足】
コンポストを成功させるには「好気性微生物」の働きを助け、「嫌気性微生物」の働きを抑えることが大切です。
「好気性」というのは「酸素を好む」という意味です。逆に「嫌気性」というのは「酸素を好まない」という意味です。
微生物作用のうち人間生活に有用な場合を「発酵」、有害な場合を「腐敗」と呼びます。ただし微生物によって何かが分解されることを腐敗と言わずに単に発酵とする場合もあります。
コンポストで発生する悪臭は「嫌気性微生物作用」による「腐敗」が原因です。コンポストでは「好気性微生物」による「発酵」が必要なのです。
原料を堆積発酵させると、初期はアンモニアなどが一時的に発生しますが、好気性発酵がすすむにつれて臭気発生量は減っていきます。しかし、原料に空気が入らないと嫌気性発酵となり硫黄化合物や低級脂肪酸類などの悪臭物質が長期間発生します。
環境省 水・大気環境局大気環境課 大気生活環境室, 悪臭対応参考事例集
要するにコンポストに空気が無いと酸素もないので好気性微生物が働かず嫌気性微生物の働きが支配的になり、嫌気性の発酵、つまり腐敗が起き、悪臭が発生します。
嫌気性微生物の働きを抑えて、好気性微生物の働きを促進するには以下のようにすればよいです。
- 水分過多(酸素不足)→生ごみを乾燥させてコンポストに入れる・枯葉や乾いた土やもみ殻燻炭やピートモスなどを入れて水分を薄める
- 攪拌不足(酸素不足)→定期的にコンポストを攪拌させて空気を入れる
我が家ではソーラーフードドライヤーで生ごみを乾燥させてからコンポストに投入しています。

私は以下のような木枠のコンポストで生ごみを処理しています。

失敗した年は生ごみを乾燥させずに何でもかんでもコンポストに投入してまったく攪拌しませんでした。
すると当然悪臭が発生し、コンポストの蓋を開けることができず半年ぐらい放置したことがあります。
臭いが収まってからコンポストの原理を調査して、生ごみの乾燥と攪拌を意識したら、臭いはほとんど出なくなりました。またC/N比も勉強したのでたまに枯葉などを細かくして投入したのもよかったのかもしれません。
今も週2~3回くらい大きめのスコップでコンポストの中身を掘り返して攪拌しています。
なぜコンポストに失敗するのか【べちゃべちゃ編】

コンポストがべちゃべちゃになるのはご想像の通り「水分過多」が原因です。水分過多については以下の記事で解説しました。

要するにコンポストの水分はそのまま生ごみを投入すると80%程度となり、コンポストの適切な水分である60%を上回ってしまう現象が起きます。
すると嫌気性環境に傾いて「腐敗」し、べちゃべちゃになった挙句「悪臭」が発生します。
解決するには生ごみを絞るだけでも効果がありますが、上の記事で書いたように絞るだけでは8%程度しか水分が減少しません。
そこで以下のような方法で乾燥させるとうまくいきやすくなります。
- 乾燥させた枯葉や腐葉土や乾いた土やもみ殻燻炭やピートモスなどをコンポストに混ぜて全体として水分を減少させる
- ベランダにネットに入れて吊るす
- ソーラーフードドライヤーで太陽光で乾かす
- 電動乾燥式生ごみ処理機を使う
それぞれ一長一短あります。
枯葉などを入れて水分を薄める方法だと、生ごみ以外の枯葉などがコンポストのかさを増やすので生ごみを入れられる量が減ります。
ベランダに吊るすと虫や鳥が寄ってきて生ごみを持っていかれるリスクや虫の不快感などが発生します。生ごみが分解されて臭いが発生することもあります。本来コンポスト容器の基材に埋めることである程度臭いを閉じ込めておくところがむき出しなので臭いが出る可能性があります。
ソーラーフードドライヤーは燃料がいらずエコですが、ドライヤー本体の置き場所と乾燥場所という場所の確保が大変です。乾燥中も生ごみが温まるので若干臭いが出ます。
電動乾燥式生ごみ処理機は虫も臭いもなく高速に乾燥できますが、電気代が結構かかります。

つまりマンションやアパートでご近所迷惑にならずに乾燥させるには「枯葉などの混合」と「電動乾燥式生ごみ処理機」くらいしか手がありません。
室内でコンポストを作るときは「枯葉などの混合」をまず試して、無理そうなら「電動乾燥式生ごみ処理機」を使うというアプローチになりそうです。
生ごみ処理機「パリパリキュー」なお最近は乾燥式生ごみ処理機以外にもいろいろなタイプの生ごみ処理機が販売されていて、脱臭フィルターが付いているものもあるので、そういうものを探してみてもいいかもしれません。
なぜコンポストに失敗するのか【虫編】

虫に関しては以下の記事で解説しました。

コバエなどは生ごみの分解された臭いに集まってきます。これを防ぐには分解前に乾燥させるのがよいです。
またゴミムシやゴキブリは生ごみの臭いそのものに引き寄せられて発生します。生ごみをどこかに置いておけば集まってくるのです。
ゴミムシやゴキブリを防ぐには以下のような方法があります。
- ゴキブリが発生しない室内でコンポストを作る
- 庭やベランダでコンポストを作るときは密閉できるコンポスト容器を利用する
- ゴミの減量化だけが目的なら電動乾燥式生ごみ処理機でカサを減らした生ごみをごみ袋で保管して燃やせるゴミに出す
ゴキブリがいない家というのが前提ですが、室内で段ボールコンポストなどを作れば虫は室内にいないのである程度虫を防げます。段ボールに隙間があるとコバエなどの原因になるので通気性のある布(不織布など)などでふさぎましょう。
こういう密閉できるコンポスト容器も販売されています。密閉中は嫌気性環境になりやすいのでたまに攪拌して空気を送りましょう。
庭があってご近所づきあいが大丈夫そうなら不織布を使用した、ある程度水分を排出できる密閉式のバッグ型タイプのコンポスト容器を使えばゴキブリなどの侵入を防止できます。べしゃべしゃになりにくいです。
ただし上記二つのタイプのコンポスト容器を利用しても、「嫌気性発酵」や「C/N比低すぎ」などの運用をすると悪臭が発生するので注意しましょう。
最後にコンポストの目的が植物用の堆肥の製造ではなく、生ごみの減量にある場合、電動乾燥式生ごみ処理機で生ごみを乾燥させてそれを保管して燃やせるゴミに出すほうが手間がかかりませんし虫も湧きません。生ごみの減量だけが目的の場合は生ごみ処理機の購入もご検討されるとよいかもしれません。
生ごみ処理機「パリパリキュー」

なぜコンポストに失敗するのか【分解不足編】

コンポストは微生物の分解作用で生ごみを堆肥化します。
微生物は生き物なので「生育適温」が存在します。そのため「冬の屋外」や「冬の寒い台所」などでは温度が足りず微生物の働きが鈍ってうまく生ごみが分解されない現象が起きます。
Q16 温度はどのくらいまで上げれば良いのでしょうか?
温度が低くても分解はゆっくり進んでいます。20度前後でも大丈夫ですが、30度から40度になると生ごみの分解も早くなるようです。廃てんぷら油を入れた場合などには60度を超えることもあります。
小田原市, 段ボールコンポストQ&A
低温の場合は時間がかかるということだけ注意です。
また水分は60%くらいがよいとされ、それより水分の低いカラカラのコンポストでは微生物の活動が鈍って分解が十分行われません。
乾燥しすぎの場合は未乾燥の生ごみを入れるとか、霧吹きで水分を足すなどしましょう。
手で握って固まり、離してつつくと崩れるくらいが適切な水分量です。
そして最後がpHです。
コンポスト化には最適な pH 範囲があり、pH4~9 程度であれば微生物が活発に活動し、良好
北九州国際技術協力協会(KITA), 5 コンポスト化技術の基本理論-注意すべき項目
な好気発酵が継続します。
柑橘類の皮は酸性が強いのでpHが低下します。低すぎると微生物の活動が抑えられるので、柑橘類の皮を大量に投入した場合に分解が遅いなら、投入量を減らしましょう。

まとめ【コンポストを適切に運営して失敗を防ぎましょう】

今回はコンポストに失敗するという話題について「臭い」「べちゃべちゃ」「虫」「分解不足」という視点で解説しました。
コンポストは色々なバランスを意識することで成功しやすくなります。
コンポストがうまくいかないというときに参考になりましたら幸いです。
※室内の観葉植物ならエコで長く効くマグァンプecoがオススメです。コンポストよりコバエも発生しにくいです。
