今回は真空管式のソーラークッカーについて解説していきます。
ソーラークッカーを自作して昇温実験などをしていくと、だんだんと物足りなくなってきます。冬でも食材の温度が80度程度になるようなものはなかなか作れません。
これは熱を吸収する黒いものの周りをガラスなどで囲っても改善されません。
原因は空気にあるように思われます。伝熱部に空気がない真空管式なら冬でもお湯が沸騰するからです。そういう情報を目にすると真空管式に興味が湧いてきます。
今回は真空管式のソーラークッカーの特徴と、真空管の大きさ別にメリットとデメリットを挙げて、真空管式ソーラークッカーを買おうかどうか迷っている方の参考になるような情報をお伝えするのを目標にします。
真空管式ソーラークッカーの特徴

ここでは真空管式ソーラークッカーの特徴について解説します。
真空管式ソーラークッカーの仕組み
真空管式ソーラークッカーの仕組みを図示すると以下のようになります。

ガラスの筒が二重になっているような構造です。
外側のガラスは透明で太陽光を通します。内側のガラスには黒いメッキが施してあり、ここで太陽光を吸収して温度を上げます。
内側と外側のガラスの間は真空になっています。このため熱が外部に逃げにくくなっています。
ソーラークッカーで熱を黒い部分に吸収させると以下の3パターンで熱が逃げていきます。
- 黒体からの輻射熱(電磁波)
- 黒体に触れる部分(主に黒体を支える部分)と黒体の伝熱
- 黒体に触れる空気との伝熱(新しい空気にどんどん熱が逃げていく)
熱がある部分からは絶えず電磁波の形で輻射熱が放出されていて、輻射熱の形で温まった熱が逃げていきます。
また熱を持った部分と接触する部分から冷たい方に熱が伝わって逃げていきます。
そして熱を持った部分が空気に触れると、空気に熱が伝わって熱が逃げ、高温になった空気は上昇気流になって上空に逃げるので、新しい冷たい空気が逃げた空気の場所に供給され続けるため、冷たい空気に常にさらされて熱が逃げ続けます。
この3パターンの放熱量よりも多くの熱を黒い部分に供給し続ければ、黒い部分の温度は上昇します。
そこで真空管式ソーラークッカーでは以下の工夫で供給熱量と放出熱量のバランスを改善しています。
- 反射板でより多くの場所から光を集めて、黒い部分に供給する熱量を増やす
- ガラスとガラスの間を真空にすることで、空気による熱損失を防ぐ。そもそも伝える空気が無ければ空気による損失はない
- 真空部分で黒い部分を覆うことで熱を持った部分と外部の冷たい部分が接触する場所を少なくする(接触面積が多ければそれだけ熱はたくさん伝わってしまうため)
真空管式ソーラークッカーは熱くなる
真空管式ソーラークッカーで有名なエコ作500は200度以上になります。
また、真空は熱を伝えない特性がありますので、吸収した熱が蓄積されていき、管内部が200℃以上の高温になります。
寺田鉄工所, ソーラークッカーエコ作 500
内部がオーブンくらいの熱を持つので、切った野菜を入れてオーブン焼き的に使ったり、真空管が大きいタイプならメスティンを入れて炊飯したり、パンを焼いたりできます。もちろんお湯も沸きます。
冬でも高温を得られる
詳細は以下の記事で解説していますが、真空管式ソーラークッカーは冬でもお湯を沸かすくらいの力があります。

これは冬になって真空管の外側のガラスが低温になっても、真空ゆえに内側のガラスに冷たさが伝わらないので、太陽光から吸収した熱が外部に逃げにくいためです。
真空管式ソーラークッカーのメリットとデメリット

ここでは真空管式ソーラークッカーについて大きさ別に解説します。
小さめの真空管式ソーラークッカーのメリットとデメリット
エコ作500くらいの大きさの真空管式ソーラークッカーには横置きタイプと縦置きタイプが存在して、それぞれメリットとデメリットがあります。
エコ作500などの縦置きタイプのメリットとデメリットを挙げると以下のようになります。
- お湯を沸かしやすい
- お湯を沸かせる関係で煮ものを作りやすい
- トレイが無いのでオーブン的に水を入れずに野菜を焼くと管の上の方と下の方で温度が変わって焼きムラが生じる(後述するトレイの自作で横向きにできるのである程度解決する)
- たまに底に野菜が焦げ付き、掃除するのが大変なときがある
- 管が細すぎてパンを焼いたり炊飯をしたりするのは無理。メスティンが入らない
gosun goなどの横置きタイプのメリットとデメリットは以下のようになります。
- トレイ付属で調理した野菜や肉を取り出しやすい
- 焦げ付くのはトレイ部分だけなので、焦げ取りが簡単
- 縦にして使うのが非推奨のものが多く、お湯が沸かせない(横置きすると水が漏れる)
- お湯が沸かせないので煮物ができない
- 管が細すぎてパンを焼いたり炊飯をしたりするのは無理。メスティンが入らない
縦置きタイプでも横向きにすれば使えますが、専用トレイが無いので焼いた野菜の取り出しや焦げ付きで困難を伴うことがあります。
とはいえトレイの自作も可能です。以下のサイトにやり方が載っていました。

アルミ缶を蓋と底だけ切り捨てて、円周に合わせるように切り出してそれをホッチキスで留めれば完成です。
以下は私が作ってみたトレイです。

円周の先端は真空管に触れるので内側によく曲げてクセを付けるとよいでしょう。じゃないとアルミ缶の切り口が鋭いので真空管が削れてしまいます。一応真空管に入れてから引っ張り出す操作がしやすいようにアルミ缶を切り出した余りをホッチキスで止めて引手を付けました。ビールのアルミ缶2つで完成です。
アルミ缶で作れそうだとは思っていたのですが、ホッチキスで留めるという発想がなかった。考えた人すごいです。
なおアルミ缶を切り出したトレイ本体は鋭いので手を切らないように気を付けましょう。トレイを使用して料理した後にトレイの焦げ落としなどをスポンジや金だわしなどでする際にも手を切りやすいので気を付けてください。
ソーセージをそのままとジャガイモとニンニクを適当に切ってトレイに並べて真空管式ソーラークッカーで12月に90分ほど日に当てるとこんな感じになりました。

真空管の奥の方ほどよく焼けました。ジャガイモにもちゃんと火が通っています。
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お湯が沸く
縦置きタイプの真空管式ソーラークッカーはお湯が沸きます。私は反射板だけ自作した以下のような真空管式ソーラークッカーを所有していますが、11月後半でも日差しがあれば二時間程度で中の水が沸騰します。

日差しから離しても内部は91度程度あります。

沸騰したお湯でコーヒーやお茶を淹れてもいいですね。お湯は熱いので扱いに気を付けましょう。特に真空管からやかんにお湯を移すときは、お湯が垂れたりして危険です。
野菜を煮る
例えばジャガイモなどをカットして水と一緒に真空管に入れてお日様に当てておけば煮えます。
エコ作500くらいの真空管には以下の写真のまな板の上くらいのジャガイモが入ります。

煮えたジャガイモを取り出した写真が以下のようになります。

注意点としては、真空管内の水が沸騰してからしばらく煮るということ。
沸騰したから煮えていると思ってすぐに取り出すとたまに火が通っていません。沸騰したらそこからがスタート、くらいの気持ちで煮ましょう。
煮たジャガイモにソースとマヨネーズと青のりと鰹節をかけて食べるのが私の中では簡単でおいしいのでお気に入りです。
大きめの真空管式ソーラークッカーのメリットとデメリット
Amazonで入手できるMrMapMax (ミスターマップマックス)というソーラークッカーは真空管がエコ作500より大きいので、キャンプ用の小さめのメスティンが入ります。メスティンが入ればキャンプ飯みたいなものも作れます。
パンを焼いたり、炊飯をしたりできますね。大きめの真空管式ソーラークッカーのメリットとデメリットをまとめると以下のようになります。
- メスティンが入る太さがあるので魚や肉を焼く本格的な焼き料理ができる
- 炊飯やパン焼きも可能
- 基本的に横向きタイプなので、縦置きタイプのようにお湯を沸かすのは苦手。メスティンに水とカットした野菜を入れておけば煮物はできる
- 揚げ物とピザ焼きは無理
- 大きい真空管は高価なのでソーラークッカーの入手にお金がかかる
水を真空管に満たしてお湯を沸かすという用途以外ならほとんど弱点がないソーラークッカーです。オーブン的な使い方ができます。真空管が太いので500mL程度の小さめの真空管タイプ(エコ作500くらい)よりも大きな食材を調理できます。
ただし揚げ物とピザ焼きはできません。揚げ物とピザ焼きがしたいならパラボラ式ソーラークッカーが必要です。
まとめ【真空管式ソーラークッカーは本格的な調理ができる】

今回は真空管式ソーラークッカーについて、その仕組みや真空管の大きさ別にメリットやデメリットを解説しました。
パネル式などのソーラークッカーの場合より真空管式のソーラークッカーは高温を得られやすくなっているので、調理の成功率が上がります。
もし自作したソーラークッカーの成功率が低くてガッカリしているなら、真空管式ソーラークッカーを試してみてはいかがでしょうか。
