今回は斑入りモンステラの斑の部分が茶色くなるという話題の解説です。
そもそも斑は弱い組織である
斑入りモンステラの斑の部分って白いコントラストが非常にきれいでいいんですけど、あの斑の部分は植物の生育という視点で見た場合非常にデリケートでお荷物的な部分になります。
光合成できないことによる活性酸素の害
斑は源流をたどれば突然変異であのような白い模様が入っているわけですけど、基本的に葉緑体をもちません。
つまり光合成ができない。
以下は私が茎伏せから育てている斑入りモンステラ(ホワイトタイガー)です。

上で葉が展開している4株それぞれ斑の入り方が全然違います。特に右側と真ん中下は白い斑が多く、非常に葉が茶色になりやすいですね。
光合成できないと自身を活性酸素から守る力がない。
葉緑体がある緑の葉っぱなら光合成のときに光エネルギーをうまく使って自身のエネルギーにできますが、光合成できないと行き場のない光エネルギーは葉の白い部分で活性酸素に変わります。
活性酸素は細胞にダメージを与えるため、白い斑に強い光を当てるとこのダメージでやられて茶色く、つまり死んだ細胞になってしまいます。
また白い組織は光合成で発生する抗酸化物質を蓄えていないので、なおさら活性酸素にやられやすいのです。
この斑の弱さからどうやって茶色化を防いでいるのかはこのあと解説します。
乾燥・根腐れ・体力不足による見切り
白い組織は光合成に寄与しないので、植物の生命活動としては赤字の組織です。
乾燥とか根腐れ、寒さなどによる株の体力不足が起きると、赤字組織を見切って、元気な緑の組織だけ生き残らせようとします。
斑入りモンステラを高湿度、暖かい部屋、厳重な水分管理で大事に育てるのは斑の部分を守るためでもあるわけです。
老化
斑入りの白い部分は、植物にとっては「生まれつきちょっとデリケートな部分」です。どれだけ完璧に管理していても、葉の寿命(老齢化)によって白い部分から先に茶色くなっていくのは自然な生理現象でもあります。
ではどうすれば斑が茶色くならないのか
上の原因を一つずつ潰していく必要があります。
光のコントロール(一番重要)
過剰な光が茶色くさせるため、適度な「強すぎず」「弱すぎない」光量が必要です。
過去記事で斑入りモンステラの光量について扱ったので詳細は以下の記事をご覧ください。

なおちょうど良さそうな家での場所について書きますが、一番確実なのは照度計で測ることです。私は以下の照度計を使っています。
適切な照度についておさらいすると以下のようになります。
茎だけ〜芽が出るまで
- 1000Lux〜3000Lux
- レースのカーテン越しの窓辺(直射日光が当たらない場所):直接強い光が当たらない、部屋の少し内側などが理想的です。
- 明るいリビングの棚の上:人が心地よいと感じる温度(20℃以上)が保たれやすく、空気も停滞しにくいため、発根・発芽の成功率が上がります。
葉っぱ1枚〜2枚
- 3000Lux〜5000Lux
- レースのカーテン越しの窓辺(南向き・東向き)
- 窓から約 30cm 〜 50cm ほど離れた場所が、ちょうど 4,000 〜 5,000 Lux あたりになりやすいです。
- ポイント: 天気の良い日の日中、レースのカーテンに直接日光が当たっている状態のとき、そのすぐ後ろ(窓際ぴったり)は 10,000 lux を超えてしまうことがあります。そこから少し部屋の内側へ一歩引いたあたりがベストな位置になります。
- 直射日光の入らない窓辺(北向き・西向きの午前中)
- 北向きの大きめの窓際、または西向きの窓の午前中(直射日光が差し込む前)の窓際は、遮光なしの自然光だけで 3,000 〜 5,000 lux 前後の安定した優しい明るさになります。
- ポイント:斑入りモンステラにとって、急激な光量の変化が起きにくい「北向きの窓際」は実はかなり管理がしやすいおすすめの場所です。
以下は上でちょっと出てきた我が家の茎伏せからの展開株のうちの一つです。

光量3000Lux程度で維持していますが、葉が徐々に大きくなってきてしかも斑が茶色に枯れていません。
つまり光量の調整がうまくいっているということです。
もう少し葉が増えてきてらもう少し光量を上げていこうと思います。
ただし、これは比較的散り斑が多めの株なので5000Luxくらいに上げる予定ですが、斑が多い株に関しては4000Luxくらいに留めてじっくり育てようと思います。
葉っぱ3枚〜
- 5,000 〜 6,000 lux(安全圏): 斑(白い部分)を絶対に焦がしたくない場合のベストな光量です。美しい白をキープしながら、緑の部分もしっかり光合成ができます。
- 6,000 〜 8,000 lux(成長促進・挑戦圏): 3〜4枚目以降の新しい葉を大きくし、モンステラ特有の「切れ込み」や「穴」をしっかり出したい場合の理想的な光量です。ただし、この光量にする場合は「空気が常に動いていること(風通し)」と「適度な湿度(55%以上)」が維持されていることが条件になります。環境が止まったままだと斑が焦げるリスクが上がります。
- 南向き・東向きの窓辺から「1mほど室内に入った」場所 :直射日光が直接葉に当たらない位置で、なおかつ窓からの明るい光がダイレクトに届く特等席です。この位置は年間を通して5,000〜7,000 lux程度を確保しやすく、モンステラが最も健康的に大きく育ちます。
- レースのカーテン越し(2重レースや遮光率40〜50%)の窓際: 窓のすぐそばに置く場合は、遮光を少し意識します。薄手のレースカーテン1枚だけだと、晴天時の日中は10,000 luxを超えてしまうことがあるため、少し厚手のレースカーテンにするか、ブラインドの角度を調節して「木漏れ日のような柔らかい光」を作ってあげます。
- 植物用LEDライトの直下から少し外した位置: もし育成ライトを使っている場合、ライトの真ん前は10,000 luxを軽く超えるため、ライトの中心から少しずらした場所(斜め下など)や光源からやや離した位置(真下)に置くと、ちょうど5,000〜7,000 luxの安定した環境が作れます。
季節変動
上の目安はあくまで平均的にそういう照度になりやすい場所を書いています。
当然ながら季節ごとに太陽光の強さは変わるので、以下に注意点を挙げます。
- 夏場は直射日光を避ける
- 西日を斑に当てないようにする
夏の日差しは100000Luxくらいあるので、直射日光は一発で斑を枯らします。
多少窓から離したくらいだと数万ルクス出る場合があるので、「とにかく控えめに」置く場所を考えてください。
感覚的な理解だと照度が合っているかわかりにくいので、やはり照度計を一個もっておくと安心感が増します。
また西日も40000ルクスくらい出るので、西日が直で当たっている場合は置く場所を見直すか早めにカーテンで遮光するとか工夫しましょう。
育成ライト
育成ライトも今の植物育成ライトは結構出力が強いので、斑入りモンステラの場合ある程度光源から離す必要があります。
例えばBRIMの以下のライトは12Wで1株くらいをカバーできるライトですが、公式では10cmの距離で14500Lux、20cmの距離で6450Lux、30cmの距離で3200Lux、40cmで1980Luxとあるので、30cmで始めて照度計を利用しつつ20cmくらいまで近づけるようにして4000Luxとか6000Luxとかを狙うことになります。10cmだと斑が枯れますね。
電球タイプのライトだと24Wくらいあるのが普通ですから、さらに光源から離して利用することになります。
植物育成ライトは太陽光なしに太陽光の代替を目指す製品なので、基本的に出力が強く、斑入りモンステラの場合、照射距離に対する照度をちゃんとわかった上で使わないと斑を枯らす素なので注意しましょう。
乾燥対策
そもそも斑の部分は葉緑体がないため、自分で糖を作ることができません。そのため、気孔の開閉コントロールがうまくできず、乾燥しても「穴を開けっぱなし」にしてしまうことがあります。簡単に言うと気孔の開閉に使う孔辺細胞は細胞の水分量で開いたり閉じたりしていて、この水分の調整に糖が必要で、それが無いのでここの開閉がうまくいかないのです。(他にもカリウムイオンとか青色光の受容体が無いとかの理由もあります)
その結果、せっかく茎から送られてきた水分が、白い部分からどんどんザルのように蒸発してしまいます。
つまり通常の斑がないモンステラより高湿度に維持しないとザルのように蒸発する水分を留めることができません。
エアコンの風を直で当ててはいけないという話の根拠もこれで、エアコンの乾燥空気をガンガン当てると水分をどんどん奪われて、葉から水分が一気に抜けてしまいます。結果として「あ、乾燥しすぎて無理だわこれ」と葉が判断して白い斑の部分を見切って枯らすという結果になるわけです。
夏と冬のエアコンの直接の風に当てないのは基本として以下のような乾燥対策が求められます。
葉っぱ1枚〜2枚のとき
65% 〜 75%程度の湿度を維持する必要があります。
まだ株が小さいので、簡易的な温室に入れて中に絞ったタオルを入れておけば簡単です。温室は空気が淀むので一日一回は開閉して空気の入れ替えをしてください。
我が家では上の茎伏せからの株に関しては温室で70%程度の湿度で維持しています。室温は27℃くらいです。夜間は6月でも結構室温が下がるので、以下の記事を応用して温室に風呂の残り湯をポリタンクに詰めておくと翌朝まである程度ヒーターでの加温なしにもちます。

管理する株が多いなら加湿器で加湿しましょう。
温室は以下のような安価なものがあります。
湿度計はタッパーでの茎伏せから葉っぱ5枚以上まで使えるSwitchBotの製品が小さくて使いやすいです。
もし簡単な湿度計で手動で加湿器などを管理したいなら、普通の湿度計を一個買いましょう。
加湿器は何でもいいですが、一定湿度以下に下がったら加湿器をオン、一定湿度以上に上がったら加湿器をオフにできるSwitchBotの製品が便利です。この製品自体には湿度計が無いので、上のSwitchBotの湿度計と組み合わせる必要があります。
さらにハブミニという連携させるためのアイテムも必要なので、資金に余裕があるなら検討してみてください。
また葉水をこまめにすると葉っぱ周りの湿度が上がってより管理しやすくなります。霧吹きでできればちゃんと葉水の後に乾く「午前中」にやってください。夜間は乾きにくいのでちゃんと乾くならやってもいいですが、乾かないなら朝やるようにしましょう。乾かないとカビの素になります。
ただし葉水もやりすぎると今度は蒸散が妨げられて根からの水の吸い上げが悪くなり、逆に根腐れの原因になったりするので、サーキュレーターで弱めに風を送ってあげると蒸散が妨げられにくくなり、管理が楽になります。
部屋が大きいなら以下のようなものがいいでしょう。本体と植物はある程度離して強すぎない風を送ってください。
一部分だけ風が起こせればいいならUSBファンがおすすめです。
サーキュレーターのメリットは他にもあって、葉っぱ周りの空気を入れ替える役割もあります。これがジメジメした葉っぱ周りの空気をある程度乾燥した空気に入れ替えて、結果として蒸散が活発になります。
すると根から水分をよく吸い上げることに繋がって、そうなると土がジメジメしなくなり、カビや病原菌の発生を抑制します。
結果弱い組織である斑の部分がカビや病原菌にやられにくくなり、根腐れも予防できて良いわけです。土のジメジメとカビについては以下の記事もご覧ください。

理想的なサーキュレーターの風の強さは「葉が「たまに、1枚か2枚がゆらゆらと優しく揺れる」くらいの風量」です。
弱いほうがいいです。強すぎると逆に蒸散が活発になりすぎて葉っぱと草体を守るために気孔が閉じてしまって蒸散が止まってしまいます。
葉っぱ3枚〜
このくらいに成長すると普通の斑入りモンステラの管理で良いのですが、斑入りゆえ多少の湿度は必要です。
55% 〜 65%程度の湿度を目安にしてください。
湿度の上げ方は上の葉っぱ1枚〜2枚のときと同じです。
根腐れを防止する水やり方法
光合成しにくいということは光合成の材料である水を使いにくいということで、根から吸い上げる水の量も少ないです。
なので根腐れしやすいので水やりも注意して行う必要があります。
- 「鉢土がしっかり乾いてから」水やり: 「土の表面が乾いたら」ではなく、「指を第一関節まで入れて中まで乾いているか」、または「鉢を持ち上げて軽くなっているか」を確認してから、鉢底から流れ出るまでたっぷりと水を与えます。メリハリが命です。
- 排水性の高い「軽い土」を使う :観葉植物用の土に、パーライトや軽石(ひゅうが土など)、ココチップを2〜3割混ぜて、水がサーッと通り抜ける抜群に水はけの良い土を作ります。
- 受け皿の水は必ず捨てる :受け皿に水が溜まったままだと、鉢内が酸欠になり、一発で根腐れします。水やり後、10分ほど経ったら必ず受け皿の水を捨ててください。
観葉植物用の土に混ぜる資材は以下のようなものがおすすめです。
土をブレンドするのが面倒なら以下の土は堆肥っぽい要素が無いので水はけが良くおすすめです。
葉っぱ2枚くらいまでなら茎伏せからこの状態までベラボンを使うと排水性と保湿性が抜群なのでおすすめです。我が家でも葉っぱ2枚〜3枚まではベラボンオンリーです。
寒さ対策
一番いいのは寒い日はエアコンを一日中夜間も含めてつけっぱなしにして加湿器を炊いておくことですが、電気代の問題もあるので、冬は休眠と割り切って夜間に株がダメにならないくらいの温度を維持するようにするといいかもしれません。
安全圏は15℃以上、最低でも10℃以上はキープしたいところです。
上でご紹介した湿度計は温度計の機能もあるので検討してみてください。
まず対策するのは以下のようなことです。
- 冬場は「水やり」を大幅に減らす :気温が下がると成長が止まり、水をほとんど吸わなくなります。冬は土が乾いてからさらに数日空けて水やりをします(乾燥気味に育てることで、植物の樹液濃度が上がり、耐寒性が高まります)。
- 夜間は部屋の中央へ避難させる :冬の窓際は、夜間に外気並みに冷え込みます。日中は窓際で日光に当てていても、夜は必ず部屋の中央や、床から少し高い場所(テーブルの上など)に移動させてください。冷気は床に溜まります。
- 水やりは「暖かい日の午前中」に :冬の夕方以降に水やりをすると、夜間に鉢内の水が冷え込み、根が凍傷(風邪をひく状態)を起こします。必ず晴れた日の午前中に、室温に馴染ませた水(ぬるま湯に近い常温)を与えてください。
これにプラスしてヒートマットとか「簡易温室+風呂の残り湯」などを活用すると冷え込みの強い夜間や外出時に役立つでしょう。それについて書いたのが以下の記事です。


ちなみに我が家では爬虫類温室を参考に冬でも温室管理で22℃以上をキープしています。正面も透明ビニールじゃなくてスタイロフォームで埋めて蓋みたいに開閉しています。風呂の残り湯のペットボトルとかポリタンクと非常に相性がいいです。以下爬虫類温室を作っている方のYouTube動画です。作成は非常に簡単です。保温性を上げたければスタイロフォームを2重、3重に厚くしてください。コストが高いなら同様の厚みの発泡スチロール板でも効果は同じくらいです。
トラブルシューティング
茶色くなった斑の部分は切るべき?
現実としては茶色くなった部分は細胞が死んでいるので元には戻りません。
放置するとそこから病原菌やカビが侵入してくるので清潔なハサミ(アルコール消毒したもの)で茶色い部分をきれいに切り取ってください。
緑の部分まで切りすぎると光合成できなくなって葉っぱ自体が枯れてしまうので切り過ぎに注意しましょう。
肥料って斑入りだとどのくらい与えればいいの?
目安としては「根を痛めない」のを最優先にすべきです。
濃すぎる肥料分は根をダメにして「肥料焼け」状態にします。
肥料焼けは根が栄養を吸い上げる力が著しく落ちるのでモンステラは自身が生き残ろうと斑の部分をリストラして枯らします。
液肥で管理すると濃度をコントロールしやすくおすすめです。
与えるのは15℃以上の最低室温・最低気温(屋外管理なら)の時期のみです。温度が下がって休眠に入ると根が水をあまり吸い上げないので肥料焼けしてしまいます。
- タイミングは2週間に一回、液肥入りの水でいつもの水やりをします
- 液肥濃度は株が大きいなら1000倍、株が小さいなら2000倍に希釈します
微量元素もあったほうがいいのでリキダスを液肥と同じタイミングで与えるといいでしょう。液肥を混ぜた水に一緒に入れてください。成長期は1000倍、葉が少ないうちは2000倍希釈です。
まとめ
今回は斑入りモンステラの斑の部分が茶色くなるという話題の解説でした。
光の管理や湿度管理などをしっかりやってきれいな斑を長く楽しみましょう。

