今回は家庭用蓄電池が高いので代替手段はないのか、という話題に関する内容です。
屋根上太陽光発電は売電を前提に容量を決めている場合が多く、3kWとか4kWの容量の太陽光発電を設置していると電気が余ります。
ただし電気代が値上がりしている昨今、どんどん低下する売電価格で売電するより自家消費したほうがお得な状況になってきているので、売電する余った電気をどうやって自宅で消費するのかという問題があります。
今回は家庭用蓄電池、エコキュート、ポータブル電源という三つの自家消費手段を比較してそれぞれのメリットやデメリットを解説していきます。
※太陽光発電なら自社施工の会社だけを集めて紹介するサービスのソーラーパートナーズという手も。中間業者を省くことで低コストを実現しています。太陽光発電+蓄電池の見積もりも可能です。
家庭用蓄電池の相場

家庭用蓄電システムの相場は、蓄電池と工事費の合計で約18.7万円/kWhとなっています。
参考:経済産業省, 定置用蓄電システムの目標価格および導入見通しの検討
家庭用蓄電池の人気の容量としては以下のようになっています。
この中で現在一番人気なのは、9kWh~13kWhの容量帯の蓄電池、その次が少しだけ蓄電池容量が小さい5kWh~9kWhの蓄電池となっています。
参考:ソーラーパートナーズ, 【2024年最新】家庭用蓄電池の価格相場まとめ | メーカー別・太陽光セット相場も一目でわかる
ここで簡単のために5kWhか10kWhのシステムを導入するとします。
すると5kWhで18.7万円×5=93.5万円
10kWhで18.7万円×10=187万円
くらいの出費となります。
家庭用蓄電池のポータブル電源にないメリット

ポータブル電源もコンセントがついているので家電が動かせます。
しかしながら家庭用蓄電池にはポータブル電源にないメリットが存在します。
- ポータブル電源より高出力
- 屋根上太陽光発電の電気を溜められる
- 分電盤とつなげて家中の電気を一手に引き受け可能
- 一度設置したらポータブル電源のようにいちいちソーラパネルと電線を抜き差しする必要なし
例えばパナソニックの蓄電池は6.0kW大出力で家じゅうの家電への電力供給ができます。
参考:パナソニック, 新開発:高出力6.0kWでスリムなパワーステーション
蓄電容量は6.7kWh。
上の計算式では18.7円×6.7=125万円くらいの計算です。実際は販売店などの中間マージンも考えてさらに価格は上がるでしょう。
また基本的に屋根上の3kWとか4kWとかの太陽光発電と連携できます。充放電は自動で行われ、ポータブル電源のようにソーラーパネルを庭に出して電線でつなぐといった動作が不要です。
そして分電盤とつなげて家中の家電をコントロールできます。ポータブル電源だと使う家電の近くまでバッテリーを運んでバッテリー付属のコンセントにいちいちつなげなければいけません。
エコキュートのコスト

太陽光を有効利用する方法として最近YouTubeなどで盛り上がっているのがエコキュートと太陽光発電の連携です。
家庭でのエネルギーの消費割合では給湯が約33.9%となっており、全体の約3分の1のエネルギーが給湯に用いられています。
その後直近の2018年では暖房24.2%,冷 房 2.5%, 給湯33.9%,照明・家電製品等39.4%となっている。
参考:㈱住環境計画研究所, 家庭用エネルギー消費実態と公的統計
お湯を沸かすエネルギーとして太陽光発電の売電分の電力を自家消費することで昼間余って売っている電力を有効利用できないか、という視点がエコキュートと太陽光発電の連携の源泉です。
2024年の売電価格は10kW未満のシステムの場合16円/kWhです。(参考:資源エネルギー庁, 買取価格・期間等(2024年度以降))
また2024年の電気代は従量電灯Bの300kWh超過で約40円/kWhです。(参考:東京電力エナジーパートナー, 料金単価表‐電灯)
例えば300kWh超過分の電気を太陽光発電で自家消費できるとすると、売れば16円、自家消費すれば40円の節電となり、自家消費で節電したほうがメリットが大きいということになります。
エコキュートは夜間電力でお湯を作るのが基本です。例えば東京電力の夜トクプランの夜トク8の場合、夜間電力は約31円です。(参考:東京電力エナジーパートナー, 夜トクプラン)
この夜間電力の消費量を昼間の太陽光発電でまかなえるとすると、31円の節約になります。やはり売るより自家消費したほうがお得です。
エコキュートは3タイプ
エコキュートは大きく分けて3タイプあります。
- 夜間電力で沸かす通常タイプ
- 昼間シフト機能が付いた夜間電力の使用量を抑えたタイプ
- 昼間の太陽光特化で昼間の電力使用が最大のおひさまエコキュート
おひさまエコキュートというのは2024年7月の状況では以下の5社でのみ発売しています。
- ダイキン
- パナソニック
- 三菱電機
- コロナ
- 長府製作所
おひさまエコキュートの価格
3~5人向け370Lタイプの本体価格は以下となっています。ただし実際は取り扱う販売店によって値引きされ半額くらいになることもあるため、問い合わせてみるしかありません。
| メーカー | カタログ価格 | 参考元 |
| ダイキン | 129万8000円 | ダイキンおひさまエコキュート |
| パナソニック | 95万400円 | パナソニック, おひさまエコキュート |
| 三菱電機 | 119万9000円 | 三菱電機, 三菱 エコキュート |
| コロナ | 1,04万600円 | コロナ, おひさまエコキュート |
| 長府製作所 | 97万2400円 | 長府製作所, おひさまエコキュート |
エコキュートの工事費
設置業者によって変動しますが、大体15~20万円程度のようです。(参考:クラシアン, エコキュートの交換や設置にかかる費用はいくらくらい?)
おひさまエコキュートおすすめの太陽光発電の容量
おひさまエコキュートはヒートポンプで水を加熱するので、同じヒートポンプ式加熱システムであるエアコンをずっと使っているような状態になり、結構電力を使います。
ダイキンと長府製作所の効果試算の条件に4kW太陽光を想定している記述があるので4kW以上の太陽光発電を屋根に乗せるのが妥当ですね。
結局おひさまエコキュートはお得なの?
上で6.7kWhの蓄電池で125万円くらいでした。
おひさまエコキュートを簡単のため本体100万円+工事費20万円とすると合計120万円くらいになって、同じくらいの価格になりますが、上述のようにエコキュートの本体価格が値引きされる場合があるので、本体価格が50万円くらいに値引きされると合計70万円くらいになって、エコキュートのほうがお得となります。
お得になるかはエコキュートの販売店によって異なるので色々な販売店で見積もりを取ったりして検討するしかないでしょう。
ただしどういうメリットを得たいかによってエコキュートと蓄電池どちらが良いかは変わります。
屋根の太陽光発電を無駄なく自家消費したいならエコキュート、昼間の電気を夜も使いたいなら蓄電池というように、どちらのメリットを得たいかでどちらにするか決めることになると思います。
またどちらも節電を目的にしています。
両者の節電効果を試算してみます。
一般にエコキュートで40℃のお湯を作るときは1時間で100Lくらい作れるとされています。
370Lだと3時間42分かかる計算です。
ここでエコキュートが消費する電力は1kWから1.5kWくらいと言われています。
消費電力1kWとしてみると、370Lお湯を作るには1kW×3×(42/60)h×31円=65.1円
ここから晴れの日が年間どのくらいか考えます。
東京の晴れ日数の一年間のひと月あたりの平均値は約16.5日です。(参考:気象庁, 晴れ日数と降水日数の平年値を基に計算)
つまり一年で16.5日×12か月=198日晴れの日があると試算できます。
つまりおひさまエコキュートの稼働日数は198日程度と考えられ、節電金額は65.1円×198日=約1万2800円となります。
次に蓄電池の場合。従量電灯Bの300kWh超過で1kWh約40円、蓄電池6.7kWhタイプと仮定します。
すると晴れの日で満充電できると仮定して、198日×6.7kWh×40円=約5万3000円
120kWhをこえ300kWhまでを36円として試算してみると198日×6.7kWh×36円=約4万7000円
ここで一晩でどのくらい電気を使っているか試算すると、例えば1月の戸建で約13.2kWhとなり、蓄電池は一晩でほぼ使い切ります。(参考:環境省, 平成 25 年度家庭における電力消費量実測調査の図1.3時別電力消費量の月平均値を基に計算)
投資額に対する節電金額を(節電金額÷投資金額)としてみるとおひさまエコキュートは(12800円÷1200000円)=0.0106、仮に値引きできて70万円で設置できたとすると(12800円÷700000円)=0.018
蓄電池は(53000÷1250000)=0.04となります。
大雑把な計算ですが蓄電池のほうがお得度は高いですね。ただし初期投資の少なさで言えばエコキュートのほうがいいということもあるかもしれません。
※追記:次の章でガス給湯器からエコキュートに変えた場合の総合的な節約効果を計算してみると、エコキュートの節約効果がかなり高いことがわかりました。
追記【エコキュートはガス給湯器に対する光熱費の節約分も考慮する必要がある】
上の話はあくまで消費電力の削減量だけの視点での比較でしたが、エコキュートはガス給湯器より効率の良いヒートポンプ技術で焚き上げを行うので、ガス給湯器に対する光熱費の節約分も考慮したほうが現実的です。
年間のガス給湯器のランニングコストはエコキュート370L相当の焚き上げをする場合、年間約73,200円です。(都市ガスの場合, 参考:パナソニック, 低ランニングコスト)
これに対して370Lタイプのエコキュートのランニングコストは年間約37,200円です。
さらにLPガスも考えてみます。大体年間141,100円です。(参考:キンライサー, プロパンガス給湯器からエコキュートへの交換で月々の光熱費がお安くなります!)
このことからガス給湯器をエコキュートに変更することで生じる光熱費の削減分は以下となります。
- 都市ガス→エコキュート:73,200円-37,200円=36,000円
- LPガス→エコキュート:141,100円-37,200円=103,900円
ここからさらにおひさまエコキュートの太陽光発電による節電分を加味すると以下となります。
- 都市ガス→エコキュート+ソーラー:36,000円+12,800円=48,800円
- LPガス→エコキュート+ソーラー:103,900円+12,800円=116,700円
投資額に対する節約金額を(光熱費削減金額÷投資金額)としておひさまエコキュートは(48,800円÷1200000円)=0.04、仮に値引きできて70万円で設置できたとすると(48,800円÷700000円)=0.0697。これが都市ガスの場合。
LPガスにすると(116,700円÷1200000円)=0.097、仮に値引きできて70万円で設置できたとすると(116,700円÷700000円)=0.1667。
こうなってくるとエコキュートの独壇場ですね。
ポータブル電源を併用してみるとどうか

屋根に太陽光パネルが乗っていて昼間発電している間は自家消費できるので、家じゅうのコンセントが太陽光パネルからの電気で給電されます。
これをポータブル電源で充電すれば、太陽光発電の電力を無駄なく利用できます。
我が家の太陽光パネル100Wの夏の発電量が約70Wくらいなので、パネル容量に対して70%が電力として取り出せると仮定すると、4kWの容量の太陽光パネルは4×0.7=2.8kWくらいが発電能力となると仮定できます。
8月の戸建の13時の電力消費が約0.9kWhくらいです。(参考:環境省, 平成 25 年度家庭における電力消費量実測調査の図1.3時別電力消費量の月平均値を基に計算)
つまり1.9kWくらい電気が余ります。
ここで家庭用蓄電池よりは手軽に入手できるEcoFlowのデルタ2を2台、合計2kWh導入すると考えます。
Amazon(2024年7月26日時点)での価格は114,400円となっています。すると2台で228,800円となります。
デルタ2は最大入力1200Wで80分で満充電できるとあります。(参考:EcoFlow, DELTA 2|デルタ 2)
1.9kW電気が余っているので最大入力1.2kWで1台ずつ充電すれば160分だいたい3時間もあれば充電できます。
これを家中のコンセントでいろいろ使うことで毎日消費すると仮定すると、従量電灯Bの300kWh超過で1kWh約40円の場合、一日で2kWh×40円=80円の節電。
一年で198日晴れたとすると80円×198=約15000円の節電となります。
(節電金額÷投資金額)は(15000÷228800)=0.065
総合的な節約効果としてはエコキュートの次くらいになります。
結局「蓄電池」「エコキュート」「ポータブル電源」はどれがいいか

以上より家庭用蓄電池とエコキュート、ポータブル電源の(光熱費削減金額÷投資金額)を並べてみます。
| 節約方法 | (光熱費削減金額÷投資金額) | 年間節約額 |
| 家庭用蓄電池 | 0.04 | 4万7000円~5万3000円 |
| 都市ガス→おひさまエコキュート | 0.04~0.0697 | 4万8800円 |
| LPガス→おひさまエコキュート | 0.097~0.1667 | 11万6700円 |
| ポータブル電源2kWh | 0.065 | 1万5000円 |
以上より単純な節約効果だけ考えればエコキュートが一位、次にポータブル電源、そして最後が蓄電池となりました。
エコキュートはガス給湯器の家庭がエコキュートに変える、しかもおひさまエコキュートを選択するとかなり節約になります。LPガスのほうが削減効果が高いですが、都市ガスからの切り替えでも蓄電池と同等以上の節約効果です。だからYouTubeで頻繁に蓄電池の代わりにおひさまエコキュートがおすすめと宣伝されるんでしょうね。
ポータブル電源はお得度で言えば蓄電池より上ですが、毎日手動で晴れの日の晴れ間を見つけて充電用コンセントを抜き差しする手間がかかります。SwitchBotのスマートコンセントなどを利用すれば外出先からコンセントのオンオフを操作できますが、やはりアプリなどで操作する手間はかかります。
家庭用蓄電池はお得度はそれなりですが、放っておいても充電と放電を自動で行ってくれるので、蓄電池を使用していることを意識せず家中の家電が使えます。初期投資額が大きいのがネックと思われます。
どれがいいかはその人の考え方によると言えそうです。
まとめ【蓄電池よりはエコキュートにしたほうがいいかも】

今回は家庭用蓄電池が高すぎるから代替手段はないのか、という視点で蓄電池とエコキュートとポータブル電源を比較しました。
家庭用蓄電池は節約効果で言えばそれほど悪くない選択ですが、ガス給湯器からの切り替えの場合エコキュートの節約効果がかなり高いことがわかりました。
ただし初期投資を抑えるなら節約効果的にポータブル電源もアリなのではないかというのが結論でした。
