今回は当ブログの主要なテーマである「太陽光」そのものについて、電気・熱・農業の観点から解説する内容となります。
太陽光の用途にはどんなものがあるのか
太陽光を利用するという視点では当ブログでは主に以下の3点を用途として挙げています。
- 太陽光で発電
- 太陽光を熱エネルギーに変換
- 太陽光を作物の光合成に利用
順に解説していきます。
太陽光で発電

太陽光で発電するという視点では「太陽光発電」と「太陽熱発電」が存在します。
太陽光発電
太陽光発電というのはかなり身近に存在します。
家々の屋根を見れば多くの屋根に太陽光パネルが設置されています。
太陽光発電の仕組みとしては、N型半導体とP型半導体を貼り合わせて光を当てると、N型がマイナスに、P型がプラスになって、そこを繋ぐと電気が流れます。N型半導体とP型半導体の概要は以下となります。
- N型:半導体の原料であるシリコンに微量のリンやアンチモンなどの元素を加えると結合電子が余ってそれが移動します。すると電流が流れます
- P型:半導体の原料であるシリコンに微量のアルミニウムやインジウムなどの元素を加えると結合するための電子が不足します。この不足部分がホールとなって移動すると電流が流れます。
太陽熱発電
太陽熱発電は力業です。
真空管式ソーラークッカーと似ている技術を使います。何らかのチューブのような集熱器にパラボラのようなミラーで太陽光を集めます。すると集熱器に通した水が温水になって蒸気になります。

発生した蒸気をタービンに送って、タービンを回して発電します。
太陽熱発電は太陽光発電より発電量が安定します。太陽光発電は光が当たっていないとすぐ発電量がなくなりますが、太陽熱発電はタービンの慣性力などですぐに発電量がなくなるという心配が少ないです。
参考情報:(NEDO), NEDO再生可能エネルギー技術白書第2版
太陽光発電のメリット・デメリット
太陽光発電のメリットは太陽光を利用すれば発電の燃料がいらないという点です。
電力会社と契約して電気を購入すると、その発電に利用する燃料がかかります。最近は太陽光や風力、地熱、水力など自然エネルギー由来の発電量も増えていますが、いまだに発電の柱は火力と原子力です。
火力も原子力も燃料がかかります。
その点太陽光発電ならパネルに光が当たれば発電できるので、太陽光が当たる場所さえ確保すれば無料で電気エネルギーを得られます。
太陽光発電のデメリットは晴れていないと発電できないということです。
夜間に発電できないので、夜間に電力を利用するには何らかの蓄電装置に電力を蓄えて利用することになります。
家庭用太陽光発電を利用する方法
屋根にソーラーパネルを敷き詰める場合100万円程度かかる場合が多いでしょう。2023年の家庭用太陽光発電システムの1kWあたり価格は約28.8万円となっています。3kWなら86.4万円程度、5kWなら144万円程度となります。
参考資料:経済産業省 資源エネルギー庁 第91回 調達価格等算定委員会配付資料「太陽光発電について」P37
こうした家庭用太陽光発電システムはお金をかければどんどん便利になっていきます。
- レベル1:太陽光発電とパワーコンディショナー
- レベル2:レベル1に加えて蓄電池を導入
- レベル3:蓄電池を電気自動車で置き換える
レベル1にはパワーコンディショナーという装置が入っています。ソーラーパネルだけが必要じゃないの?と思うかもしれませんが、ソーラーパネルで発電した電気は直流なので、家庭のコンセントで使うとか売電のために電柱に電気を流すためには交流に変換する必要があります。その役目を担うのがパワーコンディショナーです。家庭向けにソーラーパネルを導入するときはパワーコンディショナーも必要なのでその予算も考える必要があります。
レベル2には蓄電池が入っています。蓄電池には電気を貯めることができるので、夜間に利用することができます。ただし蓄電池は結構高額です。ソーラーパネル以上になる可能性があるのでお金さえあればという世界です。
レベル3は蓄電池を電気自動車で置き換えるという選択肢です。車種によりますが、ソーラーパネルの電気を車に充電できるものもあるので、V2H対応車種などで調べてみるとよいでしょう。V2Hというのはソーラーパネルのある家庭と電気自動車を双方向に繋げるシステムです。ソーラーパネルの電力を電気自動車に貯める、電気自動車の電気を家庭で使うということができるようになります。電気自動車の蓄電容量は一般的な蓄電池と同等がそれ以上なのでたくさんの電気を貯めることができます。もちろん電気自動車にソーラーパネルで蓄電するときに家に車がないと蓄電できないので、メインで乗り回す車が日中に家の外にあるなら別途蓄電池が必要です。普段はあまり使わないセカンドカーに電気自動車を選択する、などが現実的なところと思われます。
もっと手軽に太陽光発電を利用するには
屋根にズラッとソーラーパネルを敷き詰められれば一番良いのですが高額です。そこで家庭の節電目的ならポータブル電源とソーラーパネルの組み合わせが便利です。ポータブル電源は家庭用蓄電池より安価です。1500W程度のAC出力があるモデルでも10万円程度で導入できます。
ポータブル電源で有名なのはJackeryやEcoFlowなどです。これらのメーカーは200Wh程度から1kWh程度までラインナップされているので、予算に合わせて導入すると良いと思います。
ポータブル電源はソーラーパネルで充電できることが多いので、100W程度のソーラーパネルを合わせて購入すれば電気代の節約になります。
ポータブル電源でテレビを例としてどのくらい使えるのか、ポータブル電源の容量別にどのくらいの出力のソーラーパネルでどのくらいの時間で充電できるのか、という内容で記事を書いたのでそちらもご覧ください。

太陽光を熱エネルギーに変換

地上に降り注ぐ太陽光は1m2あたり1kW程度のエネルギーを持っていると言われています。
参考情報:第1章 太陽エネルギーの基礎知識 (資源エネルギー庁ウェブサイト)
水の比熱は4.186[kJ/kg・K]なので、太陽光を完全に損失無く利用できれば20度の水1kg(つまり1L)を100度まで上げるのに必要なエネルギーは4.186×80≒335kJ程度なので、1kWの太陽光なら335秒程度、つまり5分30秒程度で沸騰まで持っていけます。
実際は集熱器の損失が50%程度あるので10分くらいでしょう。2Lのペットボトルなら1m2の太陽光で20分程度で沸騰します。
これって結構すごくないですか?
太陽光発電より太陽熱利用システムのほうがエネルギー効率が高いことがわかっています。
エネルギー変換効率は、太陽光発電の 7 ~ 18%に対して、太陽熱利用システムは 40 ~ 60%になります。
太陽熱利用システムとは, 資源エネルギー庁ウェブサイト
太陽熱利用で挙げられる主な手法として以下の3つを説明します。
- 太陽熱温水器
- ソーラークッカー
- ソーラーフードドライヤー
太陽熱温水器
太陽熱温水器というのは聞きなれないものかもしれませんが、技術としては確立されていて、仕組みもシンプルです。
集熱器の種類で真空管式か平板式に分かれます。
平板型集熱器は、低温域の効率は優れていますが、高温域になるほど効率が低下します。 真空管集熱器は低温域の効率は劣りますが、高温域での効率の低下が少ないです。
チリウヒーター, お役立ち情報集
平板式はパネル式ソーラークッカー、真空管式は真空管式ソーラークッカーをイメージするとよいでしょう。
平板式はこういうものです。(ノーリツ SJシリーズ)
【基本取付工事費込み!】ノーリツ 太陽熱温水器 スカイピア SJシリーズ SJ-321-BL 自然循環タイプ
真空管式はこういうものです。(わくわくそーら)
真空管式はこちらで解説しています。

パネル式ソーラークッカーはこちらのサイトがわかりやすいです。

パネル式と真空管式のソーラークッカーの違いですが、パネル式は集熱器の周りをペットボトルなどで保温します。真空管式は真空ガラスで保温します。
魔法瓶の性能を考えれば明らかなのですが、真空保温の方が保温性能は良いです。それは真空は熱を伝える気体が無いのに対して、パネル式は空気が熱を伝えるので冷めやすいからです。
また平板式は高温域の性能が下がると上で述べましたが、これは流体(空気)と平板の熱伝達(対流熱伝達)が関係しています。
温度Twの平板と温度Teの流体があってこのとき平板から空気への伝熱量Qの式は以下となります。
Q=hA(Tw-Te)
hは流体の状態や性質で変わる係数、Aは平板の面積ですが、注目すべきは(Tw-Te)の部分。平板の温度が高いほど伝熱量は増えるという式となっています。
つまり平板式は温度が高くなるとこの式の影響を受けて伝熱量、つまり熱損失が増えて性能が低下します。
しかしながら真空管式なら伝える流体が無いのでこの影響を受けずに済むため、高温域での熱損失が少なく、高温域で性能が上がります。
なお太陽熱温水器にも色々なバリエーションがあります。
- 自然循環式と強制循環式
- 真空管式の場合はヒートパイプの有無
自然循環式は温度に対する水の密度の違いを利用して駆動します。水は温度が高くなるほど軽くなります。つまりタンクの上の方に勝手に集まっていきます。逆に冷たい水は重いので勝手にタンクの下の方に集まっていきます。
集熱器をタンクの下の方に設置すれば、冷たい水は勝手に下へ集まって集熱器で温められます。温められた水はタンクの上の貯水槽に溜まっていきます。これを繰り返していくとある温度までタンク内の水は温度が上がり続けます。
また強制循環式は水の循環にポンプを使います。集熱器で水が温まったら強制的に水を循環させて冷たい水を集熱器に送ります。強制循環のメリットはタンクが集熱器の上になくてもよいということです。
貯水槽を兼ねたタンクは200kg以上になることが多いです。それを屋根に乗せると家が沈む可能性もあります。
しかしタンクを地面に置ければ真空管などの集熱器とそこを通るパイプの水の重さだけを屋根の負担として考えればよいので家が沈むリスクを軽減できます。
そして真空管式のヒートパイプですが、これは直接真空管を貯水槽のタンクに入れ込む必要がなく、水道に直接つなぐことができるということです。給湯器に直接つなぐことができるので温かいシャワーなどに繋げることができます。真空管と貯水タンクはヒートパイプを通して触れ合っているだけなので、接触面での水のやりとりがありません。すると熱だけをタンクに伝えることができ、タンクを水道の圧力を保った太い水道のように利用できるのです。
ソーラークッカー
ソーラークッカーは太陽光のエネルギーを熱に変換して食材を加温する道具です。


おすすめなのが真空管式です。真空管内の温度は200度程度まで上昇します。するとオーブン調理ができますし、水も沸騰します。
手軽に入手したいならエコ作500、大容量でパンを焼きたいならMrMapMaxなどが良いでしょう。Amazonや楽天、ヤフーショッピングなどで入手できます。
パネル式だと沸騰まではいきません。よくて80度くらいです。ただし焼き芋を作るくらいの用途ならパネル式でも天気が良ければ機能します。
パラボラ式はフライパンや鍋が使えるので便利ですが、場所を取ることや価格が高いという点で上級者向けの製品となります。
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ソーラーフードドライヤー
ソーラーフードドライヤーはパネル式ソーラークッカーのような仕組みで内部の空気の温度を上げて、食材を乾燥させる道具です。

食材の殺菌まで考えると80度程度まで昇温する必要があり、簡単DIYでは難しい領域(DIYでは50度程度が限界)なので、我が家では生ごみの乾燥に使っています。
太陽光を作物の光合成に利用

作物は太陽光で光合成を行って植物に必要な栄養素を作っています。
光合成の式は以下となります。
CO2 + H2O + 光エネルギー →有機物 + O2
光合成は作物の成長に不可欠なだけではなく、地球温暖化でも二酸化炭素の固定という重要な役割があります。
木が光合成で成長して、その木を伐採して、家などを建てれば二酸化炭素は家に固定されます。大気中から移動するということです。それだけではなく、伐採した木でバイオマス発電のチップを作って火力タービンの燃料にすれば、カーボンニュートラルになります。
カーボンニュートラルというのはプラスマイナスゼロということです。化石燃料の燃焼を行うと大気中の二酸化炭素は増える一方ですが、木などを燃やしてまた木を植えれば、植えた木が二酸化炭素を吸収するので二酸化炭素はグルグル回っているだけとなり、化石燃料よりは温暖化対策になるだろう、という話です。
光合成は作物に不可欠
上の光合成の式で有機物が作られます。有機物は窒素などと結合してたんぱく質になったり、有機物同士で結びついてセルロースなどの植物体を支える物質になります。
光合成で作られる有機物は植物の成長の素なので、不足すると収量減や弱って病気発生につながります。
この光合成ですが、様々な反応を経て有機物を合成する複雑な反応です。
光合成は式だけ見れば二酸化炭素と水と光だけあれば良さそうに見えますが、実際はこの反応を起こす植物の様々な器官が必要で、例えば光の捕集に必要なクロロフィルという光合成色素にはマグネシウムが必要です。このほかにもマンガンや鉄、カルシウムなど様々なミネラルが必要なので、これらのミネラルをまんべんなく根から吸収させて、太陽光に適切に当てるというのが植物を育てる基本となります。
生ごみコンポストでミネラル堆肥を作る
光合成には様々なミネラルが必要、という話をしました。
このミネラルですが、生ごみコンポストに色々含まれています。次に挙げる文献では、窒素、リン、カリウムをはじめ、カルシウム、銅、亜鉛、マグネシウム、ナトリウム、鉄、マンガンが生ごみコンポストに含まれているということが述べられています。
参考情報:長谷隆仁, 河村清史, クラスター分析による生ごみ処理機処理物を中心とする各種コンポストの特性把握, 環境科学会誌/25 巻 (2012) 6 号
そのためフードロス問題の解決法としても、生ごみを減らしてゴミ焼却場のゴミ燃焼用の燃料の削減(地球温暖化対策)のためにもコンポストを家庭菜園レベルで利用するというのは結構理にかなった方法です。
当ブログでも生ごみコンポストについて書いています。よろしければご覧ください。カテゴリー(コンポスト)にも色々書いています。


光合成で色々な物質を作る
例えばバイオマスプラスチックの製造に木を利用するという研究が始まっています。
日本には木が豊富にありますが、近年のデジタル化の流れで印刷需要の低迷が起きています。このため紙の原料となる木材が余っています。余った木材からプラスチックを作れれば、新たな需要開拓になり、木を通して二酸化炭素が循環するのでカーボンニュートラルにもなります。木からエタノールや乳酸を作り、それを原料にプラスチックであるポリエチレンなどを作ります。
参考情報:令和2年度 脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環 システム構築実証事業 非可食バイオマスを活用した国産バイオマスプラスチック 製造実証事業, 環境省
こうした技術の根幹にあるのが木の光合成です。光合成は回りまわって私たちの生活に必要なプラスチックの原料になったり、木由来のプラスチックなら燃やしてもカーボンニュートラルで地球温暖化対策になったりしています。
まとめ【太陽光は有用な資源です】

今回は太陽光の解説という内容で、太陽光で発電、太陽光を熱に変換して利用、太陽光と光合成という視点で解説しました。
太陽光は非常に有用な資源です。太陽光を日常生活に取り入れて、有効活用できるといいですね。
