今回はフリマでよく売っている茎だけ(気根だけ付いてる)のモンステラについて解説します。
茎だけで売っているのはなぜなのか
フリマサイトで売っている茎だけのモンステラ。
なぜが葉っぱが展開した鉢入りのモンステラよりかなりお安くて、「これ、なんだろう?」と思うかと思います。
実はこれ「ミドルカット」という状態の茎で、いわゆる「茎伏せ」という作業によって新しい株を作るための素材なんです。
よくわからないかと思うので、ちょっと私の手元の茎伏せ用の茎から増やしたモンステラを使って説明します。
まず茎だけ(気根付き)で売っている状態のモンステラが以下のようなものになります。

このあと手順を説明するときにやりますが、切り口には癒合剤(トップジンMペースト)を塗って保護する処理をしています。
いわゆるこういう気根が付いているだけの茎がその後どうなるのか、というのが知りたいわけです。
簡単に経過をお示しします。まず私のやり方ですが、ベラボン(水苔でやる人も多いです)の上に気根を埋めて置いておきます。

で、このまま1ヶ月半、一日一回タッパーの蓋を開けて空気の入れ替えをしつつ、乾燥していたら適宜ベラボンを霧吹きで湿らせて放置します。
すると節の部分から以下のようにニョキっと芽が出てきます。

この状態になればほぼ成功です。この芽を出すのが最大の難関になります。
そしてこれを大事に湿度と光と温度に気をつけて管理して数ヶ月育てると以下のようなモンステラができます。株は違いますがだいたい以下のような感じになります。

茎から出た芽が成長して葉っぱになっているのが確認できますね。
これが「ミドルカットからの茎伏せ」という作業になります。
つまり茎だけのモンステラは最終的にこの状態の葉っぱ付きのモンステラに成長するわけです。
ただしこの茎伏せですが色々と条件があって、最初の茎選びのときに芽が出る茎とそうでない茎があり、その判断がつかないとただの草の茎を購入するだけで全く芽が出ないとか普通にあるので、ここからはこの茎伏せについて解説していきます。
なんで茎伏せ用の茎が安価に大量出品されているのか
売る側からみれば以下のようなメリットがあります。
- 成長させてから売るのはコストがかかりすぎる
- 成長させてから売るといくつかの株はダメになる(茎伏せの成功率は高くありません)ので茎だけ売れば失敗するリスクなしに売れる
- 安価なほうが買ってくれる人が多い(確実に収益になる)
- 斑入りガチャのリスクを自分が背負わなくて良くなる
まず茎伏せの成功率はあまり高くありません。
色々やってもいくつかの株は腐って終わります。
しかも温度と湿度と光を適切に管理した人工温室みたいな場所で育てないと環境変動要素が強すぎてうまくいきにくいです。
それなりにコストもかかります。
また茎だけ売れば成長させるコストが無いですし、郵便で購入者に送るときの送料も草体が非常に小さいので安く済みます。
結果として安価に提供できて確実に収益化できます。
そして特にホワイトタイガーなどの斑入りモンステラは、茎の模様と節から出てくる成長点の位置によって、出てくる葉っぱの模様が変動します。
美しい葉っぱの株から取った茎が必ず美しい葉を出すのかというとそうでもなくて、美しい葉っぱの株から取った茎のいくつかが美しい葉を展開するという「ガチャ」の要素が強いです。
成長点と茎の模様からある程度ちゃんとした模様が出るかはわかるのですが、やはり運の要素が出るので、出品者側でこのガチャ要素を負担すること無く「きれいな葉っぱから取った茎なので”たぶん”きれいな葉っぱが出ますよ」という出品の仕方で茎をさばけるので、茎だけ出品するという状況がたくさん生まれることになります。
美しい模様が出る茎の見分け方
手元に写真が無いので文章だけになるのですが、それほど難しくないのでそのまま行きます。
成長点が茎の「緑半分・白半分」の部分から出ている
これだけです。
というのも緑一色の茎の部分から出た成長点はどう頑張っても緑の葉しか出てきません。その後育てても白い斑は出てこないので注意しましょう。
また白一色の茎の部分から出た成長点はフルムーンという真っ白な葉になります。きれいですが葉緑素がゼロなので成長が止まり結局枯れるので注意しましょう。
白と緑が半々くらいの割合で含まれた部分から成長点が出ているか確認してから購入したほうがいいでしょう。
茎伏せの基本原理
まずなぜ茎だけのモンステラから芽が出るのかという話から始めます。
- 節には成長点が存在する(一つの節に基本的に一個)
- 成長点は普段休眠している
- 節の先端にさらに節があると先端以外の節は休眠する(頂芽優勢)
- 先端の節が無くなると休眠が解ける
- 休眠が解けると芽が出る
まずモンステラの節には成長点が存在し、これが芽になります。
節の先端にさらに節があると、先端からそれ以下の節に向かってオーキシンという成長点を休眠させたままにするホルモンが出続けます。
これによって先端の芽より下の成長点は休眠したままになります。これを頂芽優勢といいます。
しかし、節を切り分けて節だけにすると先端から切り離されるのでオーキシンが届かなくなり、休眠が解除されます。
すると成長点から芽が出てきて、葉っぱになっていくというのが大まかな流れになります。
ここで注意しないといけないのが、「節の無い茎には成長点は無い」ということです。
必ず「節が付いた茎」を買うようにしましょう。
だいたいの出品には「成長点に丸い印」が書かれた画像で出品されていたりしますので、それを参考にしてください。
また「芽が出た状態の茎」もちょっとお高いですが出品されています。
こちらを買ったほうが結局は安上がりだったりするので活用しましょう。それだけ「芽を出す」のは難しい作業になります。
茎伏せのやり方
当サイトでは茎伏せのやり方について色々と解説してきました。
概要は以下の記事をご覧ください。

その他にも色々書いているのでご興味があればご覧ください。
タグ:茎伏せ
簡単にやり方を説明します。
以下の環境を維持して葉っぱ2枚を目指します。
- 温度:20℃〜30℃
- 湿度:80%以上(95%以上くらいだと定期的に換気しないと腐ります)
- 光(斑入りの場合):茎だけ→1000Lux程度、葉っぱ1枚〜2枚→3000Lux、葉っぱ3枚以上→5000Lux
光については以下の記事もご覧ください。斑入り・斑なし双方でおおよその光の目安を解説しています。

とりあえず芽を出すだけなら、タッパーに水苔とかベラボンを敷き詰めて、湿らせて入れておき、そこに茎をコロンと置いておきます。
気根があるときは気根を埋めると成長がスムーズになります。
なお切り口にメネデールと癒合剤を使うと発根がスムーズになりやすいので以下の記事もご覧ください。

これを1ヶ月半くらい継続すると芽が出てきます。
あとは光と湿度に気をつけつつ芽が伸びるのをじっと待ちます。
気根が無くても気根は生えてくる
節の近辺には気根の成長点みたいなもの(不定根原基)も存在するので、気根が無い節を購入しても気根はそのうち生えてきます。
茎伏せのときの気根についての詳細は以下の記事をご覧ください。

簡単に概要をお話します。
気根の出始めがあるならそれを培地に接触させる状態で茎伏せします。
水差しの場合は以下のようにします。
| 気根の状態 | 水への浸け方 |
| 短い気根(数cm) | 気根の先端が数cm水に浸かるように水位を調整します。(茎が水に触れすぎないように注意) |
| 長い気根 | 気根だけをグルッと曲げて容器の水に浸けます。気根が十分に長ければ、「茎は水につけず、気根だけを水に浸ける」 状態にすると、茎の腐敗リスクをほぼゼロにできます。 |
| 気根がない節 | 節の部分(ぷっくりした場所)が少し水に触れる程度に浅く浸けます。 |
冬でも茎伏せできるか
冬は基本的に休眠期なので茎伏せの適期ではないのですが、以下の記事のやり方で人工的に環境を整えれば可能です。

詳細は上の記事に譲りますが、三種の神器をお示しします。
まず加湿器。冬の低湿度を何とかするのに必要です。特にタッパーから卒業した株をエアコン管理で部屋全体を使ってたくさん育てる場合は必須です。
エアコンの風も良くないので、直で風が当たらないようにします。詳細は以下の記事をご覧ください。

次が簡易温室。24時間エアコンが使えないときは検討しましょう。
次がヒートマット。24時間エアコンが使えないときに局所的に温めるのに有効です。
BRIMのヒートマットは我が家でも導入している温度設定ができるヒートマットです。簡易温室の下に敷きましょう。
簡易温室を使うときは100均の温湿度計をコロンと入れておいて、温室内部に濡らしたタオルを入れておくとある程度の高湿度を維持できます。
まとめ
今回はフリマでよく売っている茎だけ(気根だけ付いてる)のモンステラについて解説しました。
あれは茎伏せ用の茎です。成長させるのは難易度が高いですが、安価に始めてみたいときは挑戦してみるのもいいかと思います。

