今回はコーヒーの木の葉先が茶色になるという問題の原因と対策を四季で分けて解説するという内容です。
葉先が茶色になる原因は季節ごとにも違うし色々な原因があるので場合分けして解説します。
冬【12月〜2月頃】
最も葉先が茶色になりやすい冬から解説していきます。
可能性が高いのが以下となります。
- 寒さ
- 栄養転流
- 根の弱り
- 空気の乾燥
- カルシウム不足
寒さと栄養転流
寒さと栄養転流のメカニズムについては以下で詳細に解説しています。

簡単に言うと、冬はコーヒーの木が低温にさらされます。
すると単純に光合成の能力が弱まります。光合成は温度が高いほど活発になるからです。
光合成が弱まると自身の栄養となる糖分が作れません。栄養が足りなくなります。
また低温だと根の活動が鈍ります。すると土から水と一緒に吸い上げる無機栄養素が減ります。ここでも栄養が足りなくなります。
するとコーヒーの木は栄養が無いなりに生き抜かないといけなくなり、成長点の新しい葉に栄養を回して古い葉をリストラします。
リストラの過程で古い葉や下の方の葉、つまり光が当たりにくい老化した光合成の効率が悪い葉から栄養を吸い上げて、新しい葉にそれを回して生き残ろうとします。
この栄養の移動を栄養転流(再転流)と呼び、下の方の葉から枯れるという現象が起き、特に葉先から枯れたときは「カリウム不足」である可能性が高いです。
窒素不足のときは葉が均一に黄色くなります。マグネシウム不足なら葉脈の間が黄色になります。
一連の栄養転流は根から無機栄養素を吸えないのが根底にあります。
じゃあ肥料をあげようでは解決しません。いくら肥料を追加しても根の温度がある値より高くないとそもそも吸い上げられないからです。肥料焼けして根にダメージを受け最悪枯れてしまいます。
冬のコーヒーの木はいかに葉と根の温度を上げるかという戦いです。
窓際は寒くなるから近づけない、夜に寒くなる部屋には置かずに温かい部屋(10℃以上)に移動させるのが重要です。
温室でヒートマットを使うのが解決策ですが、根を温めるだけでも効果があります。
根が14℃で室温8℃くらいでも我が家では枯れずにコーヒーの木が維持できたので、ヒートマットの使用も検討しましょう。
我が家ではBRIMのヒートマットを利用しています。サーモスタット付きで温度調整も簡単です。
ある程度なら栄養転流で下葉が枯れても耐えますが、葉が落ちすぎると木自体が枯れるので、やはり下葉から枯れてきたら寒すぎるんだなと判断して温かい場所に移動させたりヒートマットで加温するのを検討したほうがいいでしょう。
根の弱りと空気の乾燥
エアコンの風をコーヒーの木に直で当てるとか、部屋のエアコンをつけっぱなしにした結果湿度が40%以下を割り込むようなときに葉先が枯れることがあります。
これは気孔の開閉やクチクラ層からの蒸散が関係しています。
クチクラ蒸散は通常は蒸散量の10%以下と役割は低いのですが、極端に乾燥した環境だと蒸散量が一気に増えて無視できなくなります。
また気孔というのは通常乾燥すれば自動的に干からびないように自然と閉じるのですが、閉じるまでタイムラグがあるので、いきなり乾燥した温風が当たると、しばらくは気孔が開いたままになります。
水蒸気は濃い方から薄い方に流れるので、葉の内と外の湿度差が大きいと蒸散量が一気に高まり葉が干からびます。
肝心の水を吸い上げてくれる根は低温のため活動が鈍ってうまく水を吸い上げられません。
結果として最も根(水の給水部分)から遠い場所である葉先から水が足りずに枯れていきます。
この葉先から枯れるというのをもう少し詳しく解説します。
植物内の水は根から幹、葉先まで一本のロープのように繋がっています。
葉先からの蒸散量が多く、根からの水の吸い上げが大きければ問題なく水は植物内を行き渡るのですが、冬は根が弱いので「入ってくる水<出ていく水」の状態になります。
すると植物内の水の負圧(張力)が高まります。
根っこは水を吸い上げないのでガッチリ固まっています。葉先はどんどん引っ張られています。
すると一定以上の負圧が加わったときこの水のロープが「プツン」と切れます。
切れた場所は真空になった後空気が入り込んで気泡化(キャビテーション)します。
ロープの途中が切れているのでいくら葉先から引っ張っても根っこの水を葉先まで届けられません。引っ張っても空気が入ってくるだけです。
すると葉先の蒸散は止まらないので、葉にあった水分は使い果たされ、干からびて枯れます。
葉先というのは物理的に最も負荷がかかりやすい場所で最もキャビテーションが起こりやすい場所です。
するとキャビテーションが発生するのは葉先からとなり、水分の足りない葉先が優先的に枯れるという結果になります。
結局対策としては「いきなりエアコンの乾燥した風を当てない」とか「部屋の湿度を50%以上に保つ」という対策になります。
SwitchBotの加湿器と温湿度計の組み合わせなら「部屋の湿度が50%以下で加湿器を起動する」という使い方ができて便利です。
カルシウム不足
カルシウム不足によるチップバーン(葉先の枯れ)は植物における典型的な症状です。
ただカルシウム不足によるチップバーンは上で紹介した「下葉から枯れる」とか「全体的にところどころ葉先が枯れる」とかとは症状が違うので見分けるのは容易です。
カルシウム不足によるチップバーンは「新芽・若い葉」に出ます。
というのもカルシウムは植物体で移動しないという性質があります。
つまり葉が作られる過程で葉に供給されるとそのままずっとそこにいます。
根からカルシウムの供給が滞ると(特に低温時は根が弱るので起きやすい)新しい葉はカルシウムがほしいのに肝心のカルシウムが無いという影響をすぐ受けます。なぜなら栄養転流のように他の葉をリストラしてカルシウムを持ってくることができないからです。
結果カルシウムは細胞壁の材料ですから、材料が無いので細胞組織が崩壊して葉先にその影響が出てチップバーンとなります。
カルシウム不足になるのは低温で根が弱る以外にも原因があって、蒸散量が低いと起こります。
蒸散は根から水を吸い上げる機動力なので、これが低いと根からカルシウムを吸い上げられずチップバーンになります。
どういうときに蒸散量が低くなるかと言うと、「湿度が高すぎるとき」です。
水蒸気は濃度が濃い方から低い方に流れますが、濃度差が少ないと流れが滞って蒸散できなくなります。
コーヒの木にちょうどいい湿度は50〜60%程度です。80%以上とかだと黄色信号なので、気をつけましょう。
冬は空気が乾燥しやすいので湿度を測りつつ高湿度なら状況に合わせて換気するといいですね。
根が弱る原因は水のやりすぎによる根腐れや何回も出てきた低温の影響もあるので、まず低温になっていないか確認の上寒いなら保温対策。
水やりはじんわり高頻度で与えると根腐れするので土の表面が乾いてから2〜3日後くらいに鉢底から出るくらい与えます。
見分けがしにくいならサスティーなどの水やりチェッカーを使いましょう。ただの土に刺すと青くなりませんが、土に刺した状態でその周りにドバっと水やりするとちゃんと青くなりますし、乾燥して水やりのタイミングになったら白くなります。
その上で湿度を測って、高湿度かどうか確認し、高湿度なら換気などで湿度を下げる。
もし新芽や若い葉に症状が出るなら低温を改善した上で様子を見て、改善しないならカルシウムの栄養剤などを薄く与えましょう。
リキダスがおすすめです。以下リキダスのメリットです。
- 水溶性カルシウムが入っていて植物がすぐ吸収できる
- フルボ酸やコリンがカルシウムの吸収を助け、根の細胞を活性化する
- 根の活力を高める成分が主なので根の回復を助ける
水やりのときに混ぜるのが基本ですが、それだと葉先まで到達するのが遅れるので、葉面散布(水やりと同じ規定量で薄めた水を霧吹きでかけます)も並行して行います。
霧吹きで葉面散布するときは葉の裏に念入りに吹きかけます。特に影響が出やすい新芽と若い葉の裏側に念入りにかけてください。
リキダスの成分は葉の裏の気孔経由で植物内に入るので裏側にかけるのが正解です。
葉の表は気孔がなく、クチクラ層という水をはじくロウでコーティングされていてリキダスの成分が葉に入っていきません。
リキダスは春の根が動き出す時期まで継続して与えます。
春【3月〜5月頃】
春の葉先の枯れの原因は主に以下のようになります。
- 急な冷え込み(寒の戻り)によるストレス
- 屋内にいきなり移動させて強い紫外線を受けたことによるストレス
- 植え替えの失敗
- 水やりが足りない
- 春の強風による蒸散過多
急な冷え込み
暖かくなったから屋外に出したら寒の戻りで外気温5℃とかになると、細胞が壊死します。
外の最低気温が15℃くらいまでは屋内に置いておいたほうがいいです。
屋内にいきなり移動させて強い紫外線を受けたことによるストレス
いきなり強い日差しに当てると環境の変化に耐えられず葉が枯れます。
徐々に明るい場所に慣らしていきましょう。
植え替えの失敗
根にかなりのダメージを与えるのが植え替えです。
根を切りすぎたり、土になじんでいない植え替え直後に大量に水やして根腐れとかになると根がダメージを受けて根が弱り、上で解説したように様々な要因で葉先が枯れます。
水やりが足りない
水やりが多すぎると根腐れしますが、春は気温が上がって根が動き出すので冬よりも多めに水やりしないと水が足りずに「入ってくる水<出ていく水」の構図が再発し葉先が枯れます。
これから春・夏・秋と冬以外は「土の表面が乾いたらすぐ底からあふれるくらい水を与える」ようにしてください。
春の強風による蒸散過多
強い風は蒸散を活発にします。
でも風が強すぎると蒸散が活発になりすぎます。
すると「入ってくる水<出ていく水」の構図が再発し葉先が枯れます。
水切れのサインとして葉がくたっているようならすぐに水やりしてください。
夏【6月〜8月頃】
夏の葉先の枯れの原因はだいたい以下となります。
- 水切れ
- 夏の強力な直射日光
- 高温障害
- 肥料の与えすぎ
- エアコンの風(冷房)
- 根づまり
水切れ
暑くなるので蒸散が活発になり水切れしやすくなります。
葉がくたっていたらすぐ鉢底からあふれるくらい水やりしてください。
夏の強力な直射日光
夏の太陽光は強すぎるので葉焼けが起きやすいです。
葉焼けの症状が見られたら遮光ネットでちょっと日光を弱めるとか、直射日光が当たらないちょっと陰になる場所に移動させるのが有効です。
必要になるのは真夏の期間の炎天下の直射日光下でしょうから、遮光率75%くらいが丁度いいと思います。
上の動画はメダカの話ですが、遮光率75%がどのくらいかわかりやすく伝わるので参考にしてみてください。
高温障害
直射日光は植木鉢に当たると内部が高温になり煮えるような感じになって根が痛みます。
水やりは早朝か夕方にしましょう。
日中の暑いときに水を与えると熱い水蒸気が発生して土の奥深くまで広がり根が痛みます。
植木鉢を直射日光に当てない工夫もできればしてください。半日陰に移すとか遮光するとかです。
肥料の与えすぎ
成長が著しい季節なので肥料が多く必要なのですが、限度を超えて与えると肥料やけします。
規定量を与えてください。
エアコンの風(冷房)
エアコンの風は乾燥しているので、直で当てると蒸散が活発になりすぎて「入ってくる水<出ていく水」の構図が再発し葉先が枯れます。
エアコン直の風を当てないように気をつけましょう。
根づまり
夏は植物の成長が速いので、根づまりが起きやすいです。
水やりしても異常にすぐ乾くとか、鉢底から根が出ているとか、逆に土に水が染み込まないみたいな症状なら根づまりの可能性が高いので植え替えましょう。
秋【9月〜11月頃】
秋の葉先の枯れの原因はだいたい以下のようになります。
- 水やり過多
- 寒暖差ショック
- 日照不足
- 台風で葉がこすれる
水やり過多
秋は気温が下がってきて根の活動が鈍るので、冬の準備と考えて徐々に夏よりも水やりを抑えていき、11月には冬と同じくらいのペースになるように調整します。
夏のペースでずっと秋も水やりし続けると水やり過多で根腐れします。
寒暖差ショック
急に寒くなると生理障害を起こして葉が枯れることがあります。
最低気温15℃を維持できなくなる季節になったら屋内に取り込んでください。
日照不足
夏の強い太陽光ではその光で維持できる規模まで新芽は出ます。
つまり季節が変わると日照量が減って葉の全体を維持できなくなる可能性があり、そうなると栄養転流が置きて下葉から枯れたり葉先から枯れたりします。
落葉が多すぎると寒さ対策を厳にしたりしないといけませんが、ちょっと下葉が枯れて新芽が結構出ているくらいなら様子を見て冬の管理をして暖かく維持しましょう。
台風で葉がこすれる
葉がこすれると葉先が枯れることがあります。
台風のときに屋外に出しっぱなしだったりすると起きやすいので、できれば台風のときは屋内に避難させてください。
通年の葉先の枯れ
以下のような原因は通年で発生するので注意して観察しましょう。
- カリウム不足
- 根づまり
- 害虫(カイガラムシ・ハダニ)
- 壁際に置いてよくこすれる
肥料は適量をその時期に合わせて与えます。
冬は活力剤としてリキダスを与えるくらいは大丈夫ですが、普通の化成肥料などは控えましょう。
根づまりは夏に起きやすいですが、それ以外の季節でも植物は成長するので起こりえます。
症状が出たら冬以外は植え替えしてください。
また害虫は葉の栄養を吸い取るので吸われた部分だけ枯れたりします。カイガラムシなら以下のカイガラムシエアゾールがおすすめ。
ハダニなら以下のベニカXファインスプレーがおすすめ。
また壁際に置いておくと風で葉が壁とこすれてそこが枯れるという場合があります。
壁によくこすれるならちょっと鉢を離して置いてください。
まとめ
今回はコーヒーの木の葉先が茶色になるという問題の原因と対策を四季で分けて解説するという内容でした。
基本的に冬の対策が主になりますが、それ以外の季節でも発生することはあるので、現在の季節を考えて該当する章を見ていただき参考にしてみてください。
