今回は野菜の水耕栽培を手軽にやってみようという内容です。
水耕栽培とは
水耕栽培とは土をなるべく使わずに溶液と水のみで作物を生産する手法です。
主に二つの流派があります。
- スポンジに種まきをして出てきた根を溶液に浸して栽培する
- バーミキュライトやハイドロボールなどの栄養のない資材を土の代わりに用いてトレイなどに浸して毛細管現象を利用して溶液を給水する
スポンジを利用した水耕栽培は以下の動画がわかりやすいです。
バーミキュライトを利用した水耕栽培は以下の動画がわかりやすいです。
今回はバーミキュライトを利用した方法を参考に簡単な水耕栽培システムをご紹介します。
なおより専門的にはスポンジの方を水耕栽培、バーミキュライトの方を固形培地栽培と呼び、これら2つを養液栽培とするようです。今回は養液栽培を水耕栽培と呼ぶことにしました。実際の家庭菜園ではこれら2つを区別せずに水耕栽培と呼んでいることが多いからです。
毛細管現象を利用した水耕栽培の仕組み
毛細管現象とは細い筒を水面に立てると表面張力によって水が上昇する現象です。
土が含まれた筒を水面に立ててもこの現象が発生します。(つまり土には無数の細い管が張り巡らされているとみなせる)
この現象の何がいいかというと、水が入ったボックスなどに土(バーミキュライト)を入れた穴の開いたプラカップを立てると勝手に水が吸いあがります。つまり水やりをしなくても勝手に土に水分が供給されるのです。

そして吸い上げる溶液に栄養があれば土に植えられた作物の根は栄養を吸収します。すると作物がどんどん育っていくという仕組みです。
プラカップの底には穴が開いていて、そこから根がどんどん広がっていきます。するとたくさんの栄養を溶液から吸収でき、土がなくても作物が成長します。
なおトマトなどの大きくなる野菜では根が広く長く成長するので、ボックスもそれなりに大きなものが必要になります。以下の動画がわかりやすいです。小松菜程度の葉物野菜ならペットボトルとプラカップでもできます。
水耕栽培のメリット
水耕栽培のメリットは以下のようなものがあります。
- 土づくりが不要
- 連作障害がない
- 肥料の管理がしやすい
水耕栽培は土を使わずにできるので土壌微生物との対話といった土づくりのノウハウがなくても簡単に植物を育成できます。大事なのは溶液に含まれている肥料分と根っこをたくさん伸ばすことだけです。
また土壌栽培では連作障害を気にする必要があり、輪作などで解決しますが、水耕栽培なら溶液と土(バーミキュライト)を入れ替えるだけで新しい作物を作れるので連作障害を考える必要がありません。
バーミキュライトを利用するのは栄養のない土のほうが溶液の肥料の作用をダイレクトに単純に考えられるからです。栄養ある土を利用すると土の養分と溶液の両方の肥効を考える必要が出てきてしまいます。(とはいえ今回は普通に土を使いますけど…)
なおバーミキュライトをいちいち入れ替えるのがもったいないというときは使用済みのバーミキュライトを太陽熱消毒すればよいでしょう。病害虫が死滅してバーミキュライトがリセットされます。太陽熱消毒については以下を参考にしてください。ただし完璧に連作障害を防止する方法ではないのでうまくいかないならバーミキュライトを交換してください。

そして肥料についてですが、土に肥料をまく場合、緩効性肥料や即効性のある化成肥料、ゆっくり効く遅効性肥料など様々な種類があり、作物の状態を見ながら、雨の流出なども考慮して肥効を考える必要がありますが、水耕栽培なら肥料濃度を一定に保っていればいいだけです。
一定の濃度になった溶液が減ってきたら、また一定の濃度の溶液を作ってボックスに溶液を足せばいいだけです。しかもEC値という実測できる値を参考にできるので、肥料の管理が非常にしやすいです。
水耕栽培をやってみた【小松菜】
簡単な野菜ということで小松菜の水耕栽培をやってみました。
まず水耕栽培システムの作成です。

ボックスはカップ焼きそばの容器です。
ここに液肥と水を入れます。溶液の作り方は次節を参考にしてください。
それに土(畑から適当に掘って詰めました)を入れたアルミ缶やガムの容器を沈めます。アルミ缶などの底と側面の下側には千枚通しで穴を開けてあります。根が通ったり、水が通ったりする通路を作るためです。アルミ缶の代わりにプラカップでもよいです。
今回は畑の土を使いましたが、バーミキュライトなら余計な土の作用を考えなくてよいのでより安心です。

そして遮光用にアルミホイルをちぎって水面を覆います。遮光しないと藻が繁殖して掃除が大変になります。

上の画像ではもうすでに小松菜が生育していますが(左が小松菜、右がラディッシュ)、実際は土に種をまいて発芽させます。種が嫌光性種子か好光性種子かで埋める深さが変わるので注意しましょう。
小松菜は好光性種子なので種の深さは1cm程度の浅めにまきます。
嫌光性種子なら種の直径の2~3倍の深さに埋めます。
システムができたら日の当たる窓辺にこのボックスを移動させて日光に当てます。やることはそのくらいです。
ちなみに水分を吸い上げているか土壌水分計で測ってみましたが、ちゃんと「wet」の範囲になっていました。

足し水とEC値
作物が水を吸い上げて消費するのでボックス内の水は減っていきます。
水が減ったら足し水します。
足し水は以下のように作成します。
- 液肥を水に混ぜる
- EC値を測って0.5~1.0mS/cmくらいにする。濃すぎたら水で希釈する
作物の状態や種類、品種で適切なEC値が変わるので、あくまで目安です。
参考:全農, pH、EC簡易診断
EC値というのは電気伝導度のことで、土壌中の水溶性塩類の総量のことで、要するに肥料の濃度と相関があります。
EC値が高いと肥料が濃い、低いと薄いと大雑把に判断できます。EC値は以下のようなメーターで測ることができます。表示単位が「μS/cm」なので「mS/cm」にするために測定値を1000で割ってください。
液肥は土壌栽培用の普通の液肥でもよいですが、以下のハイポニカが良いとする情報が多いです。
アクアリウムをやっているなら足し水に水換え水を利用するのもあり
アクアリウムを趣味にしているなら、アクアポニックスの考え方を参考に、今回ご紹介した水耕栽培の水として水槽の水を利用することができます。
水槽の水はEC値も適切な値になっている場合が多く、アクアリウムで水換えのときに捨てている水が利用できて環境にも良いです。

まとめ【水耕栽培は簡単】
今回は簡単に水耕栽培をしてみよう、という内容でした。
インスタント焼きそばの容器に穴の開けたアルミ缶という身近な材料で簡単にシステムが作れます。
室内で育成すればナメクジの害などもなく作物が育てられます。
ご興味がありましたらチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
