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イチゴの湿度管理【飽差管理】

今回はイチゴの湿度管理について解説します。

目次

イチゴの湿度管理の基本的な考え方

イチゴは湿度が低すぎると「乾燥して干からびてしまう」と危険を感じて気孔を閉じます。

気孔を閉じるとCO2が入ってこなくなるので、光合成もストップして実が大きくなりません。

反対に湿度が高すぎると蒸散できません。湿った場所で湿った葉っぱの中の水蒸気は移動できないからです。

水蒸気は湿度が濃い場所から低い場所に向かって流れます。湿度が葉っぱの内と外で高い状態だと流れが発生しないんです。

すると蒸散がストップします。すると蒸散は根から水を吸う駆動力ですから根から水が吸い上げられず、土から無機栄養分など(3大栄養素やカルシウムなど)を吸い上げられなくなるので、結果として栄養不足で生育が滞ります。

つまり「乾き過ぎはダメ」かつ「湿り過ぎはダメ」という絶妙なラインで湿度をコントロールすることがイチゴの光合成を最大化させる上で重要になります。

一般的な施設園芸のイチゴ栽培では「飽差管理」が行われているので、それについて解説していきます。

飽差管理概要

飽差というのは1m3あたりの空気にあと何グラムの空気が入るかという量を表した数値です。

  • 飽差が低すぎる→蒸散できない→根が駆動せずに栄養が吸えず、チップバーンや根腐れになる
  • 飽差が高すぎる→葉の水分がどんどん奪われる→干からびちゃうから気孔を閉じて光合成ストップ

なぜ湿度ではなく、飽差を使うのかという話ですが、それは空気の温度によってその空気が含むことができる水蒸気の量が変動するからです。空気は温度が高いほど同じ空気量・湿度でもたくさんの水蒸気を含むことができます。

  • 湿度80%の空気(温度10℃)→温度が低い空気なのでもう本当に空きスペースが無い
  • 湿度80%の空気(温度30℃)→温度が高いので湿度は高いけどまだ空きスペースはそれなりにある

イチゴの飽差はどのくらいを維持したほうがいいのか

園芸のマニュアルでは飽差は3〜6g/m3程度が良いとされています。(参考:香川県, ハウス内の環境を品質向上に・イチゴの収量増加つなげませんか

飽差は温度と湿度(相対湿度)で決まるので、だいたい以下のように考えるとだいたい3〜6g/m3くらいに収まります。

  • 室温10℃→湿度40〜60%
  • 室温15℃→湿度50〜70%
  • 室温20℃→湿度60〜75%
  • 室温25℃→湿度70〜80%
  • 室温30℃→湿度80〜90%

とはいえ30℃で湿度85%とかをやるとカビと病気の温床になるので、普通は遮光ネットなどで日光を遮ってハウスの温度を下げて湿度70%くらいで管理するのが普通です。

だいたい日中のハウス温度が20℃から25℃くらいの環境なら湿度60〜70%くらいを目安に管理する。

夜間は40〜60%くらいで管理するというのが基本的な戦略になります。

なお夜間はハウスの温まった空気の中にたくさんの水蒸気が含まれています。

これが低いハウス温度での夜間管理に一気に移行すると低温によって水蒸気が入るバケツが小さくなって、溢れた水蒸気が結露します。

結露はカビ系の病気の温床になるので、ハウスの温度を夜間下げる前に一度外の乾燥した空気をハウスに取り込んで湿度を下げた状態でハウスの温度を下げるのが重要です。

例えば灰色カビ病が発生しやすくなる飽差の目安は1〜2g/m3程度以下です。安全マージンをとって2とすると、例えば5℃、10℃、15℃のハウスでは以下のような湿度で管理する必要があります。

  • 5℃→湿度70%以下
  • 10℃→湿度75%以下
  • 15℃→湿度78%以下

空気の循環が大事

飽差を適切に管理しても葉の周りの空気が動かないと、葉の周りの湿度が高いままで推移してしまって、飽差管理がうまくいかなくなります。

特に日中は光合成を活発にさせる必要があるので、ファンやサーキュレーターなどで微風(秒速0.3〜0.5mくらい)を当ててあげるのが気孔に乾燥した空気を届けるのに有効です。

農家のハウスにサーキュレーターが設置されているのはこういう理由もあるのでしょう。

葉水は諸刃の剣

観葉植物なら昼間の葉水は光合成の「昼寝現象」を回避する有効な手段なのですが、イチゴは炭疽病の危険があります。

観葉植物と葉水について解説した以下の記事もご覧ください。

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炭疽病の菌はクラウンに水や泥経由で侵入してイチゴをダメにします。

霧吹きで葉裏に水をシュシュッとかけたくなるのですが、それをやるとクラウンに水がかかって炭疽病のリスクが高まります。

農家がハウスにビニールマルチをかけるのも点滴チューブで潅水するのも炭疽病予防という理由もあるので、水やりは株元にそっとかけてクラウンを濡らさない、泥を跳ねさせないのを気をつけましょう。

イチゴにおいては飽差管理で湿度を調整するのが正攻法となるでしょう。

家庭菜園の促成栽培ではどう湿度管理すればいいのか

上の適切な湿度になるように加湿器と換気をうまいこと手動で調整するのが基本戦略になります。

色々な条件が設定できるSwitchBotの温湿度計と加湿器の組み合わせなら多くの作業を自動化できるでしょう。

まとめ

今回はイチゴの湿度管理について解説しました。

飽差は表さえ作って置いておけば目標湿度を確認するのは簡単です。

イチゴをもっと光合成させたり健康に育てたいなら考えてみましょう。

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