今回は観葉植物の光合成速度は何時頃活発になるのかという話題の解説です。
光合成が活発になる時間が気になる
観葉植物を育成していると、何時頃日光に当てるのが一番いいのか、と疑問を持つでしょう。
光合成が活発な時間がわかれば、その時間を逃さずに日光に当てることで植物をより元気に育成できます。
今回は光合成が活発になる時間について調べてまとめた内容です。
基本的には午前7時から午前10時くらいまでが活発に光合成する時間帯
午前7時から午前9時とする解説もありますが、まあ午前10時くらいでもそこそこ光合成するので今回は午前7時から午前10時としました。
例えば以下の文献(1)と文献(2)では光合成速度の日中の時間ごとの値が測定されていて、そのグラフの晴れの日を読み取ると、やはり午前10時くらいまでが光合成速度が高くなり、それ以降では低下する様子が見て取れます。
文献(1)池田隆政, 伊藤大雄, 吉田 亮, ニホンナシ短果枝葉の光合成能力の季節変化, 園学研. (Hort. Res. (Japan)) 9 (1) : 87-92. 2010
文献(2)玉泉 幸一郎, 須崎 民雄, ヒノキ着生枝葉の光合成速度の日変化とその近似, 九州大学農学部演習林報告. 63, pp.55-69, 1990-11-09.
この午前中に光合成速度が高まって、午後低下する現象の生理的な解説は以下の文献(3)および文献(4)あたりで解説されています。「昼寝現象」というらしいです。
これは、日射の増加による激しい蒸散のためある条件下では根からの吸水がそれに追いつかず植物が活動を中止ないしは減衰させるためと解釈され ている。
(3)日野 幹雄, 水理学的考察に基づく植物気孔の蒸散・CO2吸収・光合成の非定常モデル, 水工学論文集/49 巻 (2005)
一方で,水噴霧区では A の低下が 見られず,光強度に応じて変化した.Tr が低い値を維持していることから,蒸散抑制によって過剰な水分損失を防ぎ,昼寝現象を回避したと考えられる.gsの値は大きく振動し,これは水噴霧による濡れの影響と考えられる.葉面水噴霧による効果は1日を通して確認でき,日積算光合成量は約2 倍に増加し,水利用効率は3倍に増加した(図5).これによって,定期的な葉面水噴霧が植物のガス交換特性を大きく改善し,光合成の昼寝現象が回避できることが植物個体のガス交換特性の日変化から示された.
(4)出典:安武大輔, 温室作物の光合成昼寝現象を引き起こす環境生理学的要因の動態解明と改善技術の確立, 課題番号18K05905(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))( https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18K05905/)
要するに、午前中に植物の気孔はどんどん開いて光合成が活発になっていくのですが、活発になりすぎて根から吸い上げる水の量が追いつかなくなって、葉っぱに水分が足りなくなるために気孔が午後になると閉じるのが原因と考えられます。
そこで定期的に葉水して葉の水分を補ってあげることで気孔の開きを維持して、この昼寝現象という光合成速度の低下を回避すると有効というのが一つ研究結果としてあります。
午前10時ころから光合成速度の低下が顕著なので、そのくらいから、光が強い間定期的に葉水すると光合成速度が低下せずにより植物を元気に育てられると考えられます。
文献では何時間間隔で葉水するといいのかまでは踏み込んでいないようですが、なるべくミストみたいな葉水を切らさずに維持するのが重要ということのようです。
まあ一般家庭なら2時間に一回くらいシュシュッとするといいんじゃないでしょうか。正午頃に太陽光は最も強くなるので、午前10時と正午くらいの葉水は忘れずに行いたいところですね。
※追記
文献(4)の図4を見るとどうも1時間に一回噴霧したみたいですね。気孔コンダクタンスが下がってから上がってまた下がるサイクルが1時間なのでおそらく1時間に一回噴霧だと思います。文献(4)にも一時間に一回って書いてありました。
家庭園芸なら心配なら一時間に一回、多少効果を感じたいくらいなら10時と12時と14時あたりにシュシュっとすればよさそうです。
※追記終わり
早朝と夕方に光を当てる補光は有効なのか
午前中に日照が足りないハウスでLED補光するとイチゴの収量が上がります。
日陰発生状況の調査結果を基に、建物影がハウス内に発生する時間を 7 : 00-10 : 00 と想定し、かつ日かげ区における PPFD が 450 μmol m-2 s-1 以下となる条件 時にのみ LED が点灯するよう設定した。2015 年 12 月 12 日から 2016 年 3 月 26 日まで LED による補光を実施 した。
〔……〕
12月から開始されたLED補光により1月の開花数は約5倍に増加し、3月の収穫果実数は約1.6倍に増加した。
これは光合成が活発になる午前中にLEDで光を補うことで光合成が活発な時間帯の光合成を維持できたことによるでしょう。
イチゴは独特な植物で、日長が足りないと休眠に入って収穫できなくなる作物です。
そこで補光という処理で夕方以降もLED光を当てると日照時間がまだ冬じゃないと錯覚して休眠に入らずに連続して多くの果実を収穫できます。
この補光時間ですが、10時間から12時間くらいが良いとされています。
補光下における5月までの可販果収量は、12~14時間補光区で無補光区に比べて有意に増加する。12時間より長い補光時間では、補光時間が長いほど5月までの可販果収量が減少する傾向にある(図3)。
日高功太、岡本章秀、荒木卓哉(愛媛大農)、三好悠太(九大農)、壇和弘、今村仁、北野雅治(九大農)、鮫島國親、沖村誠, 配光制御型高輝度LED による補光時間がイチゴの光合成と収量に及ぼす影響, 農研機構 九州沖縄農業研究センター 2014年の成果情報
処理期間は特に寡日照となる12月から2月までとし,照射時間は7時から17時までとした。LED 照明は自動
点灯式とし,ハウス内の PPFD が450μmol・m-2・s-1以下で点灯するよう設定した(グラビア参照)。〔……〕
収量は,12月から3月まで補光区で多くなり,特に2月と3月は無処理区対比でおのおの134%,129%と約3割の増収となった(表1)。
糸山 晴香, 補光処理がイチゴ‘いちごさん’の生育,収量および糖度に及ぼす影響, JATAFF ジャーナル 13(1)2025
観葉植物はイチゴのように休眠というモードが無いので、実際は曇りや雨・雪の日に特に午前10時から正午頃(できれば日光が強い14時くらいまで)まで葉水を行いつつ、植物用LED電球なんかで補光すればいいんじゃないでしょうか?
実際イチゴに補光するのは休眠しないように日照時間を錯覚させることが目的ですから、観葉植物に夕方以降補光しても気孔が閉じているのであまり意味はないでしょう。午前中と午後2時くらいまでの光合成が活発になる時間帯(葉水しているの前提です)に光を補ってあげるというのが観葉植物の健康のためには良さそうですね。
私はイチゴに興味が結構あるのでイチゴの話をしましたが、まあ豆知識くらいで読んでいただければ幸いです。
まとめ:光合成は午前10時までが重要だけど、葉水するともっといいかも
今回は観葉植物の光合成速度は何時頃活発になるのかという話題の解説でした。
葉水ってやっぱり良いみたいですね。
曇りや雨や雪の日は特に午前中のLED補光なんかを意識しつつ、午前10時以降は光が当たっている場合は葉水すると良さそうです。
