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いちごのビニールハウスの温度は何度で管理するといいのか

今回はいちごのビニールハウスの温度を何度で管理するといいのかという話題の解説です。

過去記事でいちごの促成栽培は家庭菜園でできそうか、という内容で記事を書きました。

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今回はそこからさらに踏み込んで、日の当たる窓辺を何℃に調整するといいのかという話題を扱います。

促成栽培なので室温にもこだわりたいところ。

まあ家庭菜園レベルだと日の当たる窓辺の室温を扉の開け締めでちょっと調整するくらいしかできませんが、一応目安を知っておいたほうが自信をもって温度管理できるでしょうから、室温管理について解説していきます。

目次

文献から言えること

CO2-光合成曲線は,どの生育段階でも CO2 濃度 800~1000 ppm で飽 和した(中略).光-光合成曲線は,CO2 濃度 400 ppm では光強度 1000 μmol m-2 s-1 で飽和したが,CO2 濃度 1000 ppm では 1000 μmol m-2 s-1 以上でも上昇し続けた(中略).温度―光合成曲線は,CO2 濃度 400 ppm のときには 20℃以上でほぼ一 定となったのに対して,CO2 濃度 1000 ppm では 30℃まで増加し続けた(中略).以上の結果から,イチゴ品種‘とちおとめ’に対する CO2 施肥は,晴天日には,午前の換気時刻を遅 らせ,光強度の高くなる12時頃までCO2濃度800~1000 ppmを施肥すると光合成の促進に効果的であると考えられた. また,曇天日には,気温が低く光強度も低いため,1 日中換気はほとんどせずハウス内温度を高め,CO2 を施肥し続 け CO2 濃度 800~1000 ppm を保つことで光合成速度を高められると考えられた.

(1)和田義春, 添野隆史, 稲葉幸雄, 促成,半促成栽培におけるイチゴ品種‘とちおとめ’の高 CO2 濃度下の葉光合成速度促進に及ぼす光と温度の影響, 日本作物学会紀事 第79 巻(2010)

文献(1)の内容を考慮して家庭菜園で室温をどう調整していけばいいのかを解説していきます。

室温は光合成を最大効率にするために調整するパラメーターである

なぜ室温を調整するのか。それは光合成が温度によって影響を受けて、適切な温度がないと光合成の効率が落ちてあまり光合成しなくなり、結果として光合成の生産物の塊であるイチゴの果実が大きくならないという状況を回避したいからです。

  • 午前:20℃以上、上限25℃
  • 午後:15℃以上、20℃程度
  • 日没2時間:15〜12℃程度
  • 夜温:品種ごとの最低温度(例)とちおとめ:8℃ やよいひめ:6℃

参考:東松山農林振興センター, いちごの品質向上に向けたこれからの栽培管理

光合成させたいなら「温度は20℃〜25℃くらいで管理するといいですよ」というのが一般的なやり方です。

一般に植物の光合成速度は温度が上がれば活発になります。

それにも上限があって、普通は25℃くらいというわけです。

ただ文献(1)の話になってくるとちょっと違ってきます。

イチゴというのはCO2濃度が高まると30℃くらいに室温が上がっても活発に光合成するのです。

これの何が良いかという話をします。

普通は午前中にハウスに日光が入り込んでハウスが温まりすぎるので午前中からハウスの側面を上げて換気するんですよ。

そのときにCO2も逃げていってしまうんですね。

するとCO2は400ppmくらいに下がってしまうんです。

すると20℃くらいで光合成能力(光合成速度)はもう上昇しません。

でもCO2濃度を1000ppmまで上昇させた状態で側面の換気をぐっと我慢して30℃くらいのハウスになってもハウスを維持すると、換気して20℃から25℃を維持するよりも高濃度CO2環境で30℃まで粘ったほうが光合成速度は高くなるということです。

25℃くらいで換気してしまうと午前の早い時間帯でCO2をハウス外に放出してしまうので、せっかくのCO2添加の意味がなくなってしまうんですね。

でも30℃と高濃度CO2(1000ppm)を組み合わせるとよりたくさん光合成する、CO2も無駄にならないという話なんです。

ただ一般家庭で縁側あたりで促成栽培するなら、一日中晴れでも縁側は20℃いかないくらいだと思います。

でもそれでもCO2濃度が高いほうが同じ温度でも光合成速度は高まります。(文献(1)より)

なのでよりイチゴを大きく多収にしたいなら、CO2の添加を考えると良いと思います。

例えば家庭で気軽に火を使わずにCO2を添加する方法として「寝太郎」という商品があります。

効果はそこそこあるようです。以下の動画のYouTuberさんが検証した動画が公開されています。

まあ賛否あるので確実では無いと思います。ハウスを開放して換気すると一気にCO2濃度が下がるということなので、密閉したハウスに数日吊るしておいたらまあ効果あるかな?くらいだと思います。

ただそれでも早朝1000ppm程度になるようなので、20℃くらいの縁側をあまり換気せずにこの寝太郎を一個吊るしておけば、まあ多少はいいんじゃないでしょうか。

縁側が無いなら日の当たる窓辺に家庭用の温室を用意してそこに寝太郎とイチゴの鉢を入れておけばOKです。

CO2と温度と湿度を全部測りたいならSwitchBotのCO2測定器が便利です。スマホからハウス内の情報が読めるようになるので、かなり便利になるでしょう。

CO2を1000ppm、室温30℃はあくまで光合成だけを考えたチャンピオン値に過ぎない

ただイチゴはいつも温かい状態だとあんまりよくないんです。

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詳しくは上の記事で書いているのですが平均気温によって「花芽分化」に差が出るんですね。花芽分化しないと実がつかないので花芽分化するし、果実も肥大する「半休眠」状態を維持する必要があります。

イチゴの花芽分化は短日と、1日の平均気温が25℃以下の条件がそろうと始まります。

また短日の条件がそろわなくても、平均気温が6度以上、15℃以下なら花芽分化します。

また5℃以下だと休眠状態になり花芽分化は停止します。

ここで短日の条件は11〜12時間以下くらいです。

この条件になるのは10月〜3月くらいで、この時期はハウス平均室温25℃程度以下を目指すといいです。つまり寒い時期はハウスの平均室温がちょっと上がってもいいでしょう。後述しますが、最高室温は27℃にするとよさそうなので、10月〜3月なら午後のちょっと高い室温も込みで日中平均室温20℃から25℃くらいでも行けると思います。

4月〜5月は日長条件から外れるので15℃以下を目指しても面白いかもしれません。つまり夜を低温の8℃程度にして、午前は27℃を超えないように換気多めにして、午後は換気をさらに多めにして午後の室温をもうちょっと下げて日平均気温が15℃くらいになるようにすればいいんじゃないでしょうか。

ただ普通はイチゴの促成栽培は最終花房の第5・第6花房の花芽分化が3月頃に起きるので、別に4月〜5月に平均室温を下げてもあんまり意味なくて、4月と5月も2月とか3月の温度管理で良かったりします。4月以降は花芽分化させる必要ないんです。

4月と5月に花芽分化させても6月とか7月に花は咲きますけど室温が高すぎて大きな実にならないんです。

まあ4月の実を大きくさせたいから高CO2環境にして30℃手前にチャレンジするなんてことがしたいならチャンピオン値を目指しましょう。やったことないんで結果は保証できませんが…。

夜に10℃を夏でも維持できて昼も室温を25度で維持できる植物工場みたいな特殊な環境じゃないと一期なり品種を夏収穫するのは難しいです。

ただ普通は一日の平均室温15℃が目標になります。

これはプロのイチゴ農家の温度管理を参考にしています。(参考:山口県, イチゴ・トマトにおける「農の匠」栽培管理の特徴と環境制御の基本設定マニュアル

また室温30℃でCO2を1000ppmというのはあくまで光合成速度の「チャンピオン値」であって実際に冬場に30℃でCO2を1000ppmで管理すればいいのかというとそうでもないんですよね。

実際は昼の最高室温は27℃くらいまでが限界で、30℃くらいで管理するとあんまりよくありません。花芽分化がストップしてしまうからです。

また、平均気温が24℃または22℃以下であっても、昼温が30℃以上になる場合には、いずれの品種でも花芽分化が遅れたり、未分化個体が混在することがありました。

(2)農研機構, 一季成り性イチゴの短日条件下における花芽分化可能な温度
  • ゆめのか:最高昼温→27℃〜28℃
  • 章姫:最高昼温→出蕾〜開花期:27〜28℃、果実肥⼤期:25〜27℃、収穫期:25〜26℃
  • 紅ほっぺ:最高昼温→25〜27℃

(3)参考:愛知県, イチゴにおける環境制御ガイドライン

参考(3)の中ではCO2の適正な値も述べられており、700ppmが最適とのことです。1000ppmだと奇形果が増える傾向が高まるそうです。さらに日中の平均室温は20〜25℃を目標に管理するべきと述べられています。

以上を総合すると、ハウスや温室の最高室温は27℃程度、日中平均室温20℃から25℃、CO2濃度700ppmというのが最も成果が得やすい管理となりそうです。

なお夜間の最低室温は7℃〜8℃程度が良いようです。5℃以上無いと休眠して収穫できなくなりますし、かと言って15℃とかに夜間加温すると暖房費が半端ない状態になるので7℃〜8℃くらいがコスパが最も良くなるのでしょう。

あと夜間高温だと植物の呼吸によって光合成で蓄えた糖分が消費されてしまい果実の肥大が悪くなるのも夜間8℃くらいまで室温を下げて維持する理由らしいです。

思い立ったら通販で即購入!

イチゴは秋ごろにホームセンターで出回りますが、休眠していない苗が入手できれば促成栽培することで冬でも収穫の可能性が出てきます。

楽天とかYahoo!ショッピングなら小規模園芸店のイチゴ苗が秋以外にも入手できるので、思い立ったらすぐイチゴ栽培が始められますね。

鉢は7号くらいが根が十分張れてイチゴに良いと思います。透明鉢だと土の中も確認しながら育成できるので楽しいです。

いちごの室温は27℃がMAXで昼間平均は20〜25℃で夜間8℃

以上よりいちごの室温は27℃がMAXで昼間平均は20〜25℃で夜間8℃くらいの管理だと良いでしょう。

CO2は700ppmを目標値に管理すると良いでしょう。

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