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ポータブル電源の今後【リン酸鉄・ナトリウム系・全固体】

今回はポータブル電源は今後どうなっていく可能性があるのかという話題を解説します。

目次

最新おすすめポータブル電源

ポータブル電源はモデルチェンジのサイクルが速いので最新機種のおすすめをご紹介します。これを記事で紹介しているポータブル電源(やや古い情報)と比較して検討してみてください。

最終更新:2026/02/10

DELTA3はEcoFlowの定番機種です。

1500Wの定格出力を誇り、コンベクションオーブンがフルパワーのコンベクションモードで動きます。

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当然テレビにも使えますし、アウトドア時に電気毛布やテレワークのPCへの電源供給でも約1kWh(1000Wh)の大容量なので問題なく使えます。

RIVER 2 Maxは512WhとDELTA3の半分程度の容量ですが、例えばテレワークのノートパソコンへの電源供給くらいなら消費電力30W程度なので、10時間使っても300Wh程度の消費量なので十分もちます。

DELTA3は容量が大きい分価格も高いですが、こちらならDELTA3の半分とはいかないまでも60%程度まで価格が下がるのでとりあえずポータブル電源を使ってみたいならいいんじゃないでしょうか。

ソーラー充電も220Wまで対応しているので、ソーラーパネルも大きめのものが使えて、充電速度も速いです。

Jackeryの1000NewはJackeryの定番機種です。

約1kWhの大容量でDELTA3と同等の性能です。

最近のトレンドであるリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載し、4,000回の充電サイクル後もバッテリー残量は70%を維持します。

毎日使っても10年はもつ計算です。2日に一度なら20年ですね。まあ20年使おうとしてもその前に搭載されている半導体が寿命を迎えて交換でしょうけど。

2000 Newは約2kWhの大容量で、「防災目的で長時間の停電があってもある程度安心」の容量となります。

2kWh(2000Wh)程度あるので、テレビなら40型で80W程度なので25時間つけっぱなしでも持つくらいの容量となります。

災害時はテレビが結構生命線だったりするので、テレビと他のちょっとした家電やスマホを使い続けても初動対応の時間くらいの期間必要な電化製品を使い続けられるのが最大のメリットです。

冷蔵庫も400Lクラスで年間消費電力量が300kWh程度なので、これを一日平均にすると0.82kWh程度になり、まあ安全マージンを取って1日半くらいは停電しても耐えられるくらいになるでしょう。

240 Newは最初のポータブル電源におすすめのモデルです。容量は256Whと低容量ですが、スマホの充電くらいならスマホのバッテリーが約15Wh程度なので、17回程度充電できます。安全マージンをとっても14回くらいは充電できますね。

もしものときのスマホと考えればこの容量は結構安心できる容量ではないでしょうか。

リン酸鉄リチウムイオン電池と三元系リチウムイオン電池

最近のポータブル電源はほぼリン酸鉄リチウムイオン電池が搭載されています。

しかしながらモバイルバッテリーではリン酸鉄系は少なく、三元系と言われるリチウムイオン電池が搭載されていることが多いです。

一般に三元系の場合充放電サイクルは500回程度ですが、リン酸鉄系は3000回程度使えます。

他にもリン酸鉄系のほうが、材料にコバルトという希少金属が不要でコストが低くできる可能性があったり、耐用温度が高かったりとメリットが多いのです。リチウムイオン電池なんだからリチウムだけ必要なのではないかと考えるかもしれませんが、リチウムイオン電池は電解質(有機溶剤系の電解液とリチウムなどの混合物)・正極・負極などいくつかのパーツが必要で、それらはリチウムだけでは作れないのです。

なぜポータブル電源がリン酸鉄系に変わり、モバイルバッテリーが三元系のままなのかという話からしていきます。

簡単に言うと、リン酸鉄系は重いのです。ポータブル電源は多少重くても持ち運ぶ時間はあまりないのでリン酸鉄でも十分なのですが、モバイルバッテリーはバッグなどで持ち運ぶので重いと敬遠されてしまいます。

そのため性能ではリン酸鉄のほうが優れている点が多いにもかかわらずモバイルバッテリーでは三元系が今でも多く使われています。

ナトリウム系蓄電池

最近研究が活発になってきているのがナトリウム系の蓄電池です。

ナトリウムは元素周期表のリチウムのすぐ下に来る元素で、いわゆる「塩(しお)」です。海水にも多く含まれています。

元素周期表は縦に性質の似た元素が配置されるように作られています。つまりリチウムとナトリウムは性質が似ているのです。

リチウムに比べてナトリウムは豊富に存在します。リチウムの産地は特定の国に偏っていますが、ナトリウムは最悪の場合海水から取得できるので、供給が安定しています。

ただし基本的に元素の周期表では下に行くほど重い元素になっていくので、ナトリウムはリチウムより重く、同じ性能を求めるとどうしてもナトリウム系のほうが重くなります。

しかしながらリチウムは希少物質で枯渇する可能性が高く、豊富に存在してリチウムより安価なナトリウムを利用できればメリットはあります。

例えば太陽光発電の出力制御を回避するために電力会社が大規模な定置型蓄電池を設置するときなどは、蓄電池を移動させる必要がないので、重くても大きくても、安くて長寿命ならメリットがあるのです。

電気自動車でも性能の高いリチウム系の電池を使い続けると資源が枯渇する可能性があるため、ナトリウム系を利用するという段階も近づいてくる可能性が高いです。現状ではリチウムの枯渇は問題になっていませんが、将来に備えて研究は続いていくでしょう。

リチウムイオン電池同様に正極材の組み合わせなどは多数存在し、どういう材料で作成するかは研究段階です。

中国やアメリカで生産が開始しているものもありますが、ポータブル電源に搭載されたという話はほとんどないので、まだ2024年6月の段階ではポータブル電源には進出していないと思われます。

ここでは有名なナトリウム硫黄電池【NAS】と全固体ナトリウムイオン電池の解説をするにとどめます。

ナトリウム硫黄電池【NAS】

日本ガイシが開発したナトリウム硫黄電池はNASと呼ばれて電力系統などの大容量の蓄電池として利用されています。

300℃の高温作動でナトリウムと硫黄を溶融させることによって,2Na+xS⇆Na2Sxという可逆充放電反応を可能にしており,理論エネルギー密度は,786Wh/kgで4,500サイクルの寿命が期待されている。

趙 潔, ナトリウムイオン電池の研究動向と課題, 年報 NTTファシリティーズ総研レポート No. 26 2015年6月

高性能なナトリウム硫黄電池ですが、最大のネックは300℃の高温で動作するという点です。ポータブル電源やモバイルバッテリーに利用するのは現実的ではありません。

全固体ナトリウムイオン電池

全固体電池というのは電解液を含む全ての材料が固体で構成された二次電池です。

通常リチウムイオン電池もナトリウムイオン電池もリチウムやナトリウムを有機溶剤系の電解液に溶かして使います。

この電解液が燃えやすく、しかも液体のため漏れやすいのが問題になっています。

リチウムイオン電池は、電解液として可燃性の有機溶剤を使用しているため、衝撃等により内部の正極板と負極板が短絡し、急激に加熱後、揮発した有機溶剤に着火して出火することがあります。

東京消防庁, リチウムイオン電池搭載製品の出火危険

電解液が有機溶剤ではなく無機物だけの全固体電池が作れれば、発火しにくくなります。

全固体Naイオン二次電池は、全ての電池材料が無機酸化物で構成されています。そのため、充電状態で釘や刃が刺さっても発火や有毒ガス発生のおそれがありません。

日本電気硝子, オール酸化物全固体ナトリウム(Na)イオン二次電池

とはいえ全固体電池系は最近ようやく高性能なものが作られてきている段階なので、すぐにポータブル電源になるかどうかは未知数です。

ナトリウムイオン電池は結局のところ充放電サイクルが3000回程度でコストがリン酸鉄リチウムイオン電池を下回れば市場に広まるのですが、リン酸鉄が市場に広がっているということはまだコストと性能が社会実装に届いていないということなんでしょうね。

全固体電池

全固体ナトリウムイオン電池のところで解説しましたが、全固体電池というのは電解液部分を含む全ての材料が固体で構成された二次電池です。

通常電池は正極と負極と電解質で構成されます。現在のリン酸鉄リチウムイオン電池や三元系は電解質に液体の有機溶剤を利用しており、これが発火や漏出の危険などから問題になっています。有機溶剤にリチウムやナトリウムを溶かして電解質としているのです。

そこで電解液である有機溶剤の部分を固体にしてしまえば、発火や漏出が抑えられるだろうという視点で全固体電池という電池の開発が盛んに行われています。

ほかにも全固体電池は出力の増大や寿命向上、急速充電や高温駆動、エネルギー密度向上(つまり軽く、たくさん蓄電できる)などの点で固体でない電池より優れたものが作れる可能性があり、世界中で研究されています。

電解質に混合する金属はリチウムでもナトリウムでもよく、上で解説した全固体ナトリウムイオン電池も存在しますが、現在社会実装をしようとPRされているのは全固体リチウムイオン電池です。

ナトリウムのほうが重いので、リチウムで構成したほうが軽く作れるため、EVなど移動をともなう蓄電池ではリチウムを使おうという判断なんだと思います。ただしそれもリチウム資源の枯渇やリサイクル技術の今後の動向ではナトリウムも併用するようになるかもしれません。

例えば日産自動車では2028年度までに市場投入を目指しています。

日産は、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」において、2028年度までに自社開発の全固体電池を搭載したEVの市場投入を目指すことを発表しました。

日産自動車, 飛躍的に電気自動車の性能を向上させる高度な電池技術

ポータブル電源でも固体電池の製品が株式会社ヨシノパワージャパンから販売されています。情報がはっきりしないので、全固体なのか、液体を一部使っているのか定かではないのですが、電解質に固体を使っているとあるので、時代の先端を行くポータブルバッテリーですね。

YOSHINOのポータブル電源は可燃性である液体電解質の代わりに最先端の固体電解質を採用することで
従来のリチウムイオン電池とは一線を画す安全性を持ちます。

株式会社ヨシノパワージャパン, 固体電池について

肝心の価格ですが、2024年6月11日のAmazonの価格では、YOSHINOの241Whが49,900円程度のところ、EcoFlowの256Whが34,535円程度なので、少し固体電池のほうが高額です。

今のところ固体電池を選ぶ理由としては充放電サイクルの多さと固体電池ゆえの安全性となるでしょう。

今リン酸鉄を買うべきか

ポータブル電源にはナトリウムイオン電池や全固体電池が搭載される可能性がある、という話を上でしました。

では性能や供給のメリットがあるこれらの新しい電池がポータブル電源として市場に出てくるのを待ったほうがいいか、という話になります。

結論から言うと、「まだわからない」です。

全固体電池が低価格で市場に供給されれば世に広まるでしょうし、ナトリウムイオン電池も性能向上とコスト低下が起きれば市場に広まるでしょう。

現状EVメーカーも全固体リチウムイオン電池を研究していることからまだリチウムの供給は枯渇していないと考えられるので、資源の枯渇という視点でナトリウムイオン電池への置き換えが進むという状況にはなさそうです。

全固体リチウムイオン電池の市場投入が日産自動車で2028年度目標なので、本格的な全固体電池はまだ数年は市場に出てこないのではないかと思われます。

理論的に作成可能な製品も、低価格化には製造方法のイノベーションが必要で、ここの進展には結構時間がかかります。

新しい電池として固体電池は現状コストであまり優位性がなく、ナトリウム系はそもそも実用化されていない段階なので、目の前の防災や節電目的でのポータブル電源の調達なら、リン酸鉄系が現在のところベターな選択と言えそうです。

まとめ【未来のポータブル電源は今のところナトリウムと全固体】

今回はポータブル電源の今後を考えるという内容で、今後実現しそうなナトリウム系と全固体電池について解説しました。

新しい電池は市場に出回るリン酸鉄リチウムイオン電池より何らかの視点で優位性がありますが、社会実装はまだという段階です。

今のところ2024年6月の時点ではリン酸鉄リチウムイオン電池が市場のメインプレーヤーでしょう。

ただしリン酸鉄リチウムイオン電池は全固体電池ではないので、電解質に液体の有機溶剤が含まれています。

三元系より高温駆動が可能だったりして安全性は向上していますが、燃えるゴミでゴミとして出して、ゴミ収集車で圧縮するときにショートして燃える、みたいなリスクは高いままなので、ゴミとしての捨て方に注意して、普段の扱いもあまり衝撃を加えないような丁寧な扱いを心がけましょう。

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